真面目な人ほど仕事に追われる理由とは? 陥りがちな6パターン

結局、「やること」を抱えすぎている人はうまくいかない

「頑張っているのに成果が出ない……」
「すぐに行動しようとしているのに動き出せない……」
「仕事のパフォーマンスが上がらない……」

など、人生において結果が出ないことに悩んでいる人もいるかもしれません。

私はそのような方の多くをコーチングしてきました。その経験から、わかったことがあります。それは、なかなか成果が出ないほとんどすべての人は、決して能力が低いわけではない、ということです。

仕事の成果が出ない人も、そもそもの行動を起こせない人も、コツコツ頑張ることが苦手な人も、みな能力差や頭の良さは一切関係がなかったのです。

ではなにか。それは「物事を複雑にして考えてしまう」ということです。

仕事や人間関係、人生そのものは、基本的にはシンプルなのです。

では、そうでなくなってしまうのはなぜなのでしょうか。それはあなたが、「抱えすぎているから」です。

人は、やることが多くて、それにともなう心配が重なると、集中力も散漫となって、仕事を行うエネルギーも確実に分散してしまいます。100の力があっても、10個の課題を抱えていれば、一つひとつの課題に対してたった10の力しか注げません。

そうなれば、効果的な働きはできず、大きな成果を残せないのです。

このような状況に陥りやすい人には、6つのパターンがあります。どんな人がやることを抱えすぎてしまうのか、順番に見ていきましょう。

仕事を抱えやすいパターン1:真面目で性格が良い人

1つ目のパターンは、「真面目で性格が良い人」です。

真面目で性格が良いといわれる人は、素直で、笑顔を絶やさず、文句も言わずに働きます。愚痴や不平を言わず、人の相談に乗ってくれ面倒見もよいため、みんなから慕われます。

そんな人には、仕事が集まってきます。なぜなら、急な納期であっても、少々の無理を言っても断らないので、頼みやすいからです。

しかし、そういう人は自分の時間や労力を犠牲にしがちです。いろいろな人から相談を持ちかけられたり、飲み会の誘いも増えたりします。

真面目なのは大切なことです。規律や規則から外れることなく、言いつけを守り、勤勉で誠実であるというのは、工業化時代からの重要な価値観で、21世紀の今でも通用する美徳でしょう。

ただし、それも「適正な仕事量ならば」という条件が付きます。現代のように、現場で仕事が発生し、その量を上司や経営者がコントロールできない状況においては、単に真面目なだけでは自分がつぶれてしまいます。

断るのが苦手なため、結果として、キャパシティ(許容量)を超える仕事や問題を抱えることになります。

限界を超えても仕事を受けてしまうのは、自分のキャパシティを知らないこともありますが、嫌われたくないという八方美人的な性格のせいでもあります。みんなに良い顔をしたいので、相談もできずに抱えてしまうのです

仕事を抱えやすいパターン2:能力がある人

2つ目のパターンは、「能力がある人」です。

普通に考えれば、能力がある人ほど、仕事をうまくこなします。しかし、同時に抱えるものも増えていきます。なぜなら、「能力のある人に仕事を頼みたい」とは、誰もが思うからです。

頼られて仕事をこなしてきた人は、信頼される快感を知っています。頼られて能力以上の力を発揮したこともあり、ますます仕事を断れなくなるのです。

また、能力がある人は、向上心も強いので、自分の仕事の水準を下げることができません。ハードルを自ら高くしていくタイプです。

自分に対しての過信がある人は、どんどん厳しいハードルを課していきます。短期的に見ればどんな仕事や課題をもこなせる人でも、それが長期にわたると疲弊してしまう人が少なくありません。

文字通り、抱えすぎの状態になってしまうのです。

仕事を抱えやすいパターン3:体力がある人

3つ目は、「体力がある人」です。

私の祖父の藤由忠藏は、もともと逓信省ていしんしょうの役人でしたが、独立して運送会社を経営していました。その祖父が生前によく言っていたことがあります。「偉そうなことをいくら言っても、体力がなくちゃダメだ。だから体を鍛えなさい」

確かに仕事をする上で体力は重要です。

昔から、大学の体育会系のクラブに所属していると就職には有利だ、と言われてきました。それは、仕事でどんなに厳しい局面を迎えたとしても、「寝ないで頑張れる」「馬力で乗り越えられる」からでしょう。体力がある人は心理的なストレスにも強くなります。

実際、そんな局面では、体力がある人とない人でおおいに差がついてしまいます。だから、体力のある人には仕事が集まります。

「あの人は体力があるから、無理がききそうだ」「踏ん張りがききそうだ」「へこたれないだろう」「寝ないでも大丈夫だろう」

と周りからも勝手な思い込みを持たれて、仕事がどんどん振られます。その結果、自他ともに認める体力のある人は、仕事を抱えてしまうのです。

仕事を抱えやすいパターン4:失敗を恐れる人

4つ目は、「失敗を恐れる人」です。

失敗をしたことのない人はいません。失敗は、チャレンジした結果の一つです。成功することもあれば失敗もあります。

もちろん「失敗なんて存在しない。チャレンジしたら、成功するか成長するかしかないんだ」という考え方もあり、私もそう考えています。

しかし、人によっては、極度に「失敗」を恐れる方もいます。よほど、過去に痛い目にあったのか、「失敗」を考えただけで、恐怖を感じてしまうような人です。

恐怖で行動できなくなる原因は、動物的な学習システムがもたらすものです。

ある経験をしたときに、とても嫌な感情を持ったとします。その感情を二度と味わいたくないと強くインプットされると、私たちは、同様の体験を未然に防ぐために、「恐怖」というアラームを鳴らすシステムを心と体につくってしまうのです。

恐怖は心と体で感じます。体がこわばったり、震えたり、どうしていいかわからなくなったりします。

これは、「ジリリリリリリリ!」「緊急事態発生、緊急事態発生!」とけたたましく警報が鳴っているのと同じこと。この「恐怖」が心の中で鳴り出すと、まともな行動ができなくなります。

「失敗しないように、失敗しないように」とばかり考えるようになり、過剰なくらい準備ができていないと動けないようになります。また、新しい行動やチャレンジに億劫おっくうになってしまうのです。

そうすると、これまでやった行動しかできなくなっていきます。行動するにしても手間が増え、それだけで仕事や行動のキャパシティが埋まってしまい、仕事が溜まりやすくなります。

結果として、失敗を恐れる人ほどたくさんの仕事を抱えてしまうのです。

仕事を抱えやすいパターン5:期待に応えようとする人

5つ目のパターンは、“人間関係の動機”を持つ人に多い、「期待に応えようとする人」です。

そもそも、人の動機には“人間関係の動機”“上昇達成の動機”“論理・手続きの動機”の3つの傾向があるといわれています。この3つの動機の中にも仕事を抱えるパターンが潜んでいます。

“人間関係の動機”は、「感謝の言葉」「笑顔」「役立っている感覚」「助け合い」「つながっている感覚」「絆」「心の交流」「感動」などを味わうときに最もやりがいを感じます。

「あの人のために頑張る!」「期待に応えたい!」などという言葉を使うのも、人間関係の動機が強い人の特徴です。

周りの人から頼まれると、とにかく喜びを感じて仕事を引き受けてしまいます。期待に応えるのが最大の喜び。ただし、それが一度うまくいかなくなると、大変です。

「依頼者を悲しませたくない」「期待を裏切りたくない」と感じて、なおさら頑張ってしまいます。こうなると肉体的にも精神的にもつらくなってきます。

仕事はどんどんと増えていくのですから、一つのことにかかりきりになってしまい、ほかがおろそかになるなんてことも出てきます。結果として、処理能力を超える量の仕事を抱えてパンクしてしまうのです。

仕事を抱えやすいパターン6:成功にこだわりすぎる人

“上昇達成の動機”が強い人は、「成功する」「逆転する」「成長する」「一番になる」「ライバルに勝つ」「達成する」「新記録」「優勝」「最優秀賞」「史上最高」「昇給」「ベスト」などが大好き。力がみなぎるタイプの人です。

この上昇達成の動機を持つ人に多いのが、パターン6の「成功にこだわりすぎる人」です。

とにかく成功本を片っ端から読んで真似するなど、勉強熱心です。常にギラギラとしていて、獲物を狙う猛獣のように研ぎ澄まされた感覚も持っています。営業成績が全国でNo.1の人などに、この動機の強い人が多いです。

やる気も強く実績もある人だからこそ、信頼とともに仕事も集まってきます。とにかく精力的にこなしてしまうし、成功に結びつかないことは容赦なく切り捨てるのが得意なので、たいがいは大丈夫。

しかし、成功にこだわりすぎてしまうために、余分に仕事を抱えてしまい、キャパシティをオーバーする。こうなると大変です。バランスを崩してパニックになるかもしれません。

「抱えすぎの人生」から抜け出すために真っ先にやるべきこと

ここまで見てきたように、実はどんな人も「抱えすぎた状態」に苦しむ可能性があるのです。今まで悠々と仕事をしてきているという方は、たまたま運が良かったのかもしれません。条件が少し異なれば、あっという間に仕事、雑念、不安感情などに溺れてしまうでしょう。

それらを抱えすぎてしまうと、パフォーマンスは下がり、頑張っても成果が出ない、身動きができないという状況に陥ってしまいます。

そんな「抱えすぎ」からの脱出の道は、「身動きできる余地をつくること」です。

すなわち、生活の中に空白をつくること。空白とは余裕のこと。一歩引いて、考えられる余裕(スペース)が必要なのです。

仕事がたくさんあるからといって、できる仕事はできるだけ詰め込むということをしていくと余裕がなくなります。仕事において一切の余裕がなくなってしまったら、うまく回るものも回らなくなってしまいます。

ですから、動けない人、成果の出ない人がやるべきことは、「余裕を確保すること」なのです。

あなたも、多くの仕事や悩みが「抱えすぎ」の状態になっているかもしれません。もしもそうならば、真っ先にすべきは、余白、空白、余裕をつくることです。

 seishun.jp

PROFILE
藤由達藏

株式会社Gonmatus代表取締役。夢実現応援家®。 「人には無限の可能性がある」をモットーに、作家・シンガーソングライターから経営者・起業家・ビジネスパーソン、学生・親子まで幅広い層を対象に、対面コーチングや研修、ワークショップなどを提供している。 各種心理技法や武術、瞑想法、労働組合活動、文芸・美術・音楽創作等の経験を統合し、「気分と視座の転換」を重視した独自の「夢実現応援対話技法®」を確立。ユーモアを交えながら熱く語るスタイルが親しみやすくわかりやすいとの定評を得ている。 初の著書でベストセラーとなった『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』(小社刊)は文庫化され、ますます読者を広げている。