「読書好きなのに国語が苦手…」を解消する“音読”のすごい効果

読書をする子ども

「ウチの子、『ハリーポッター』なんかを読むのが大好きだから、国語の成績はいいはず」。このように考える親御さんは多くいますが、実は「読書好き=国語が得意」というのは大きな誤解だそうです。プロ家庭教師の西村則康先生に、そのギャップを解消する「音読」のやり方についてうかがいました。

ストーリーを追うだけの読書

読書好きなのに国語の成績が悪い子というのは、実はたくさんいます。「うちの子はものすごくたくさん本を読んでいるのに、国語の偏差値が30なんです。どうしてでしょう……」と困っているお母さんがたくさんいるのです。

そこで、その子の読書傾向や読書の仕方をよく観察してみると、ほとんどが「ストーリーを追うだけ」の読書です。どんどん飛ばし読みに慣れてしまって、あらすじだけを追っている。あまりストーリーと関係がない部分を飛ばしてしまっているのです。

主人公が出てくるところ以外は飛ばして読むという子もいます。すると、あらすじはわかっても「主人公はどんな家に住んでいた? 自然はたくさんある?」「この話はいつの時代の物語なの?」といったディテールを聞いても、まったく覚えていないのです。

早い時期からこういう読み方をするクセがついてしまうと、いくらたくさん読んでも「読書」は深くなりませんし、心理描写や情景描写の素晴らしさを味わうことはできません。これでは、読書の本当の楽しみを知っているとは言い難いでしょう。

国語の成績が伸びないのも当然です。登場人物の心理状態を問われても説明できず、素材が物語文ではなく説明文になると論旨を正しく理解できないわけですから。

影響は国語だけでなく算数にも及びます。論理的な説明文が理解できないと、問題の意味がとれないからです。国語の学習に論理的な理系脳が必要である一方、算数の学習には国語力が必要なのです。

「読書好きだから安心」と思わず、どんなものをどのように読んでいるか、普段から見てあげてください。

筋ばかりを追う読書をしているようだったら、今読んでいるものの一部を音読させてみてください。音読してはじめて、黙読では気づかなかったことがあることがわかるはずです。続けるうち、黙読の仕方も少しずつ変わっていくでしょう。

3年生までにどんな文章でもスムーズに音読できるようになれば、国語の成績は自然に伸びていくはずです。そうなれば、授業をしっかり聞き、あとは漢字の勉強だけさせておけばなんの心配もありません。

高学年になってからでも、音読はときどきやるようにしてください。読むものを学年に合わせて少しずつ高度なものにして、子どもが興味のある科学読物などを読んでもらい、お母さんはそれを聞いている、というのが理想的です。

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小学生には少し難しいものもありますが、子どもが興味を持つものならぜひ読ませてあげてください。お母さんも内容をちゃんと聞いて、読み終わったら話題にしましょう。

「音読」はすべての教科の力を伸ばしてくれる

音読の大切さについては、『声に出して読みたい日本語』(草思社)の著者である齋藤孝先生も繰り返し説明しているとおりですが、ぜひ小学校1年生から実践してみてください。

スムーズに音読する練習を続けると、周辺視野も鍛えられます。つまり、今声に出している部分より先を目で追えないと、すぐにつかえてしまうからです。こうした目の動きは、いろいろな学習でも必要になります。

また、文節の中で単語の意味を理解することで、語感を鍛えることもできます、助詞の使い方がわかるようになることも、とても大きいと思います。

5、6年生になっても「30-5」を「30を5で引く」と言ってしまう子がいます。「30から5を引く」が自然に出てこない。「30を5で割る」「30に5をかける」なども同じで、日本語の「を」「から」「で」「に」などの助詞をきちんと使い分けることができないと、すべての教科の学習で苦労します。これは音読経験の不足が大きな原因です。

きちんと声に出して音読すると、黙読だけでは理解できなかったことも、不思議なほど理解できることがあります。

「先生、この問題わからない」と算数の文章問題文を持ってきたとき、「じゃあ、まず問題文を声に出して読んでごらん」と音読させると、それだけで「あ、わかった!」と解き始めることが非常に多いのです。

算数の文章問題には、「3行の壁」と言われるものがあります。文章題の問題文が3行を超えるとチンプンカンプンになってしまう子どもが少なからずいるのですが、音読の習慣がある子はこの壁をすぐに超えられるのです。

音読にも「通常の音読」と「速音読」の2種類ある

勉強が苦手な子の読み方を見ていると、問題文を読んでいるようでぜんぜん読んでいないということが多いようです。10行あるのに、目の動きを見ていると5往復くらいしかしていません。こういう場合も、問題文を音読させると解ける場合がけっこうあります。

子どもに音読させるときに私がおすすめしているのは、「通常の音読」と「速音読」のふたつを組み合わせる方法です。

通常の音読は感情を込め抑揚や緩急をつけて読みます。一方、速音読はできるだけ滑舌よくハキハキと、速いスピードで読みます。そのふたつをやってみましょう。前者は童話などに、後者は説明的な文章を読むときに適しています。小学1年生だったら、小学生新聞のようなものや、動物や宇宙のことなどを書いた子ども向けの科学読物などがいいですね。

音読することで文章に込められた感情を読み取る力がつき、文章同士のつながりの理解が進みます。一方、黙読を訓練するとスピーディーに読むことができるようになります。しかし、黙読だけだと感情がわからなくても筋だけ追ってしまったり、めんどうな文章を飛ばし読みしてしまったりするようになりがちです。

特に、小学校低学年のうちはしっかり音読することでこうした力が育ち、確実に黙読の場合の読解力も伸びます。

大人の読書家になると、文字という視覚的画像情報が直接、意味情報に変わるそうですが、文字を読むことを覚えたばかりの子どもは、まず視覚情報を音の情報にしてから意味情報に変えることが多いのです。だから、最初の段階では音読を大切にしてください。

 

seishun.jp

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PROFILE
西村則康

30年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイス。これまで開成中、麻布中、武蔵中、桜蔭中、女子学院中、雙葉中、灘中、洛南高附属中、東大寺学園中などの最難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ。テレビや教育雑誌、新聞でも積極的に情報発信を行っており、保護者の悩みに誠実に回答する姿勢から熱い支持を集めている。また、中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人のお母さんが参考にしている。

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