「敵を作りたくない」とすぐ謝る人ほど仕事で報われない理由

謝る人

「自己肯定感」が高いかどうかは、その人の幸福度と密接な関わりがあるといわれます。相手をリスペクトしすぎる、気を使いすぎる日本人は、自己肯定感が低い傾向にあるようです。経営コンサルタントの午堂登紀雄さんは、自身も自己肯定感の低さを自覚しながら、それを受け入れて成果を出してきたそうです。自分が辛くならない他人との距離感や考え方について、教えてもらいました。

自分を犠牲にしても報われることは少ない

これを言ったら嫌われるのではないかと思って言えない。これを聞いたら相手は気分を害すのではないかと聞けない。周りに嫌われないようにするために、みんなの気持ちを汲まなければならない。言いたいことを言えない。そうした不満はどんどん蓄積していきます。

そのような我慢が報われるかというと、ほぼ報われることはありません。相手に合わせ、我慢に我慢を重ねてきたのに、相手は期待通り動いてくれるわけではない。「こんなに努力しているのに」と、その落胆は大きなストレスとなって心をむしばむ。

そして、何も残らない。自分を犠牲にしても、他人はあなたから良くしてもらったとは感じない。あなたが自分を犠牲にして自分に尽くしてくれたとは思わないのです。

なぜなら、そもそも相手はあなたにそんなことを望んでいるわけではなく、あなたが勝手にやっていることなので、感謝のしようがないからです。

たとえば、あまり親しくない人から年賀状が来ても、「あの人から来てる」という程度で、「なんと礼儀正しい人だ!」とまでは思わないのではないでしょうか。疎遠になっている取引先からお中元が届いても、もらったことに対しては「わあ、うれしい」と思ったとしても、送り主に恩義は感じないでしょう。

でも相手は、「あなたに対して礼を尽くした」と満足しているかもしれません。それと同じように、いくら自分を犠牲にして相手に尽くしたと思っても、他人はそうは受け取らず、結局自分が貧乏くじを引いただけになることも少なくないのです。

もちろん、全員がそのような反応をするわけではありませんが、自分を押さえつけてまで相手に気を遣いすぎる「自己肯定感が低い人」は、労多くして益少なしということになりやすいと言えます。

トラブルを怖れる人ほど“便利屋”になる

自己肯定感が低い人は、敵を作りたくない、誰とも対立したくない。だから不本意でも相手の要求を受け入れます。騒ぎが起こることを恐れ自分を犠牲にする。とりあえず「すみません」と先に謝っておく。だから便利屋扱いされる。いいように使われる。それは精神的な奴隷と同じで、自分の人生を生きていないのと同義です。

本来はトラブルが起きた時こそ課題が見えるチャンスであり、これが人間関係なら相手との価値観の違いがわかるチャンスです。でもそれをしない、避けるということは、相手との関係を深めたり続けたりするために埋めるべき違いが何も見つからないということです。

自分を安売りして、ただで手伝う。意見がぶつかりそうなら、自分の意見を引っ込める。自分が折れることで解決しようとする。だからストレスが溜まる。自己肯定感が低い人は、自分を出せない鬱憤、無理して相手に合わせる気苦労などが何十年も積み重なり、卑屈になりやすいのです。

生きることに疲れる、息苦しい、毎日がゆううつだ、たまに無気力になることがある、人生に行きづまり感を覚える、という人は、たいてい周囲から「いい人」と思われている人です。

自分を否定せずに生きる

私は「すごい人」のように言われることがありますが、実は人見知り、口ベタ、ネクラという三重苦を抱えています。人の世話が苦手で面倒見が悪いので、人を率いることもできません。

確かにこれらを改善できれば自分の世界はもっと広がるはず。会社も大きくなり、もっと儲かっていたかもしれない。しかし自分の性格を無理に変えるのは苦痛だし、本当の自分ではないから、しんどくなる。

だから、自分を変えずに自分の世界が広がる方法を探すことにしたのです。今の素のままで気楽に生きられる道を探してきました。私は人見知りなので、たとえば自分の知り合いが誰もいないパーティーには絶対に行かない。仕事以外では他人と二人きりで会わない。人脈の広がりに限界があるかもしれないけど、無理して会っても疲れるだけで、本当の人脈にはならないだろうと割り切っています。

口ベタだから、個別相談のような対面での仕事は引き受けない。講演や企業研修も、自分が一方的にしゃべるものしか引き受けない。

違う形態の仕事を引き受ければもっと儲かるかもしれないけど、いやいややるより楽しいことをやる方が幸せを感じるからです。お金より楽しさを優先した方が、自分の人生を生きていると感じるからです。

ネクラだから、引きこもってできる仕事を選ぶ。それで今は、ネットビジネスと執筆・講演業に軸足を置いています。インターネットのおかげで、引きこもりでも生計を立てられる素晴らしい時代になったと痛感します。

他人の面倒が見られないから、人を雇って会社を大きくするのはあきらめ、一人でビジネスをする道を選びました。しかしやはりネットのおかげで、自前の組織を持たなくても、提携や外注で事業規模を大きくできます。

売上規模は縮小しましたが、余計な気苦労がない分、とても楽しい!という感じです。自分の性格に正直に向き合い、そんな自分が快適に暮らせる方法を模索してきた結果です。

むろん全戦全勝ではなく、失敗の連続です。でも、学校のように「失敗してはいけない・間違ってはいけない」ではなく、「失敗してもそこから学べばいい」と考えれば、なんだって挑戦できます。

「自分」を満足させることに注力する

「他人からこう思われたらどうしよう」ではなく、「自分が満足・納得することが大事」という発想です。そう考えたら、怖いものがなくなりました。

自分は未熟。だから周りに迷惑をかけることもある。でも他人だって未熟。だから他人にも寛容になればいい。そう考えたら、いい意味で「赤の他人に無関心」になり、他人の目も必要以上に気にならなくなりました(もちろん公共のマナーに配慮しないということではありませんが)。

 

PROFILE
午堂登紀雄

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。米国公認会計士。大学卒業後、東京都内の会計事務所を経て、大手流通企業にて店舗及びマーケティング部門に従事。世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。「極度の人見知り、口下手、ネクラの三重苦」という自身の特性を生かし、ストレスの少ない働き方を実践し強く支持されている。著書に『年収1億円を稼ぐ人の頑張らない成功法則』(学研)、『「いい人」をやめれば人生うまくいく』、『人生の「質」を上げる 孤独をたのしむ力』(日本実業出版社)などがある。

“自己肯定感"のスイッチが入る! 自分を受け入れる力

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  • 作者:午堂 登紀雄
  • 発売日: 2020/11/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)