自己肯定感が低い人ほど「会話の沈黙」を自分のせいだと考える

気まずい会話

「自己肯定感」が高いかどうかは、その人の幸福度と密接な関わりがあるといわれます。相手をリスペクトしすぎる、気を使いすぎる日本人は、自己肯定感が低い傾向にあるようです。経営コンサルタントの午堂登紀雄さんは、自身も自己肯定感の低さを自覚しながら、それを受け入れて成果を出してきたそうです。前回に続き今回も、自分が辛くならない他人との距離感や考え方について教えてもらいました。

「沈黙は悪いことではない」と認識する

自己肯定感が低い人には、初対面の人と話すのが苦手という人も少なくないと思います。会話の間が持たず、沈黙した空気が流れるのが気まずいからです。

ではなぜ沈黙が気まずいと感じるかというと、沈黙によって「話題のないつまらない人間だと思われるのではないか」という恐怖心があるからです。むろん誰でもこの感情は持っているので、自己肯定感が低いことが特別に作用するということではありません。

しかし、沈黙を過剰に恐れると、「そ、そういえばご趣味は何を?」などと、その場とはまったく関係のない話を持ちかけて余計にしらけたり、「結婚はまだ?」など、つまらない爆弾発言をして地雷を踏んだりということにもなりかねません。

また、焦っていることは相手にも伝わり、「この人、焦ってる。余裕のない人だな」と映る可能性があるし、相手にも「この人、気まずいと思っている。自分も何か話題を振らなきゃ」というプレッシャーを与えてしまうなど、あまりいいことはありません。

そこでまずは発想を変え、「沈黙は悪いことではない」という認識を持つことです。そもそも言葉は何かを伝えるための手段であり、間を埋めるためのものではありません。相手もまた、特に話題もないから黙っているわけです。あるいは特に話したくないだけかもしれません。何か考え事や心配事があり、話す気分ではないのかもしれないのです。

たとえばエレベーターの中で、自分の会社の社長と二人きりになったとします。それで沈黙して気まずいと感じたとしても、相手が黙っているのなら本人が話したくない、話したいことがない、別の考え事があるということかもしれません。

そこで、もし沈黙して焦ってしまっても、ひとまず「相手にも話す話題がないか、話す必要がないから沈黙しているんだ、だから自分も黙っていていいんだ」と言い聞かせ、いったん相手から目をそらして窓の外を見たりして、リラックスを心がけることです。

沈黙しても、それをリラックスして過ごせるなら「沈黙は気まずい」ではなく、「静寂な空間」となるし、その余裕があれば相手の方から突然会話を振ってきても、普通に返せるでしょう。どうでもいい言葉を垂れ流してまで間を持たせる必要はない、と捉えることです。

もうひとつは、沈黙は何も自分だけのせいではなく、相手のせいでもあると認識することです。なぜなら、相手が話題豊富で社交的なら沈黙になるはずはなく、つまり相手も雑談下手だから沈黙するわけで、それは相手の問題でもあります。

話したいことがあるなら、向こうから話しかけてくるものです。むしろ焦ってくだらないことを言って失点リスクを負うよりはましなので、いちいち焦らないことです。

「考えなくても答えられる質問」を心がける

ほとんどの人は自分のことを語るのが大好きだし、教えることも好きです。だから、自分が知っていることで話題を振るのではなく、相手のことを聞くことです。そうすれば自分がしゃべらなくても、相手がしゃべってくれます。

つまり会話が苦手で口ベタな人は、ズバリ「質問力」を高めることです。そもそも、質問する側が会話の流れをつくります。そして、良い質問を良いタイミングで投げかけることができれば、相手から信頼されます。なぜなら、上手な質問をすることは、「相手の承認欲求を満たしてあげること」でもあるからです。

だから雑談における質問での重要な点は、「相手がしゃべりたいこと、言いたいことを聞く」ことです。それはたいてい相手が自慢したいことなので、「以前、社内MVPを連続して取られたんですよね」「秘訣を教えてください」とか、相手が詳しいことについて「すごくお詳しいですよね」とか、相手のこだわりについて「どうしてですか?」などと聞くことです。

その話題は、相手の過去から現在に向かって聞く方が、相手も答えやすくて盛り上がります。たとえば「将来ご引っ越しのご予定は?」などと言われても、未来のことは返答に迷いますが、「いつから東京にお住まいですか?」と過去のことを聞けば、相手もストレスなく答えられます。

また、事実情報を聞くことに偏らず、前述した「相手のこだわり」、つまりその動機や背景を聞くことも、相手が気分良くしゃべってくれる促進剤になります。たとえば「東京には10年前から住んでいます」と答えが返ってきたら、「東京に来られたきっかけは何だったんですか?」「大学進学で」「一人暮らしは大変だったんじゃないですか?」などと話を広げていけます。

そこに、相手の回答と自分との共通点を探りながら、「実は私も一人暮らしを始めて、家具がそろうまで時間がかかって困ったんですよ」などと共感が得られる情報を加えていくのです。

パーティーなどで初対面の相手と名刺交換したときも、「元々このお仕事をされていたんですか?」「いえ違うんです」「どうしてこの仕事を選ばれたんですか?」と、過去の事実を聞いて、さらに動機や背景に切り込むと、会話が長続きします。

注意点としては、相手があまり考えなくても答えられる質問、相手があまり迷わずに答えられる質問を心がけることです。たとえばプロ野球などで活躍した人によく聞かれる「あなたにとって野球とはなんですか?」などという質問は、抽象的すぎて相手も答えに困るでしょう。

また、質問して返ってきた答えに対し、「いや、それはちょっと違うと思うよ」などと否定的な反応をしないよう注意が必要です。人は誰でも、自分のことを否定する人に反発するし、いい気分はしないものです。なので、どのような回答であっても、まずはいったん「そうですね」などと肯定したほうがよいでしょう。

このように、「質問力」を高めることで、話すのが苦手でも相手との会話をスムーズに進めることができます。働き方は変化しつつありますが、どのような形であれビジネスの場で会話は不可欠です。今回紹介した「質問力」で展開していく会話をぜひ実践してみてください。

 

PROFILE
午堂登紀雄

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。米国公認会計士。大学卒業後、東京都内の会計事務所を経て、大手流通企業にて店舗及びマーケティング部門に従事。世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。「極度の人見知り、口下手、ネクラの三重苦」という自身の特性を生かし、ストレスの少ない働き方を実践し強く支持されている。著書に『年収1億円を稼ぐ人の頑張らない成功法則』(学研)、『「いい人」をやめれば人生うまくいく』、『人生の「質」を上げる 孤独をたのしむ力』(日本実業出版社)などがある。

“自己肯定感"のスイッチが入る! 自分を受け入れる力

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  • 作者:午堂 登紀雄
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