3Dプリンターで心臓をつくれるって本当? 人体にまつわるふしぎ雑学

さまざまな研究と技術革新が進み、ひと昔前までは考えられなかったような発見や発明が日々報告されています。最近では「3Dプリンターで心臓をつくれる」などという話もあるようです。そうした人間の体にまつわる雑学を4つご紹介します。

「人間とバナナのDNAは半分同じ」って、どういうこと?

人間とサルは生物学的に近い。実際、人間とサルは、99パーセント同じDNAを所有していることがわかっている。

では、人間とバナナのDNAは50パーセントが共通しているといわれたらどうだろうか。

人間とバナナの両方の特徴を持った〝バナナ人間〟を思い浮かべる人もいるかもしれないが、多くの人が「まさか」と驚くだろう。

しかし、これは事実なのだ。ヒトは30億ものDNAを持っている。そのうちの半分といえば、15億である。つまり30億のDNAのうち、15億ものDNAがあのバナナと同じなのである。

といっても、DNAに書き込まれているのは、生命にとっての基本的な情報である。

たとえば細胞がどんな構造をしていて、それがどのようにコントロールされているのかといった基本的な情報は、すべての動植物に共通している。それが全DNAの半分に書き込まれているのだ。

つまり、人間とバナナが共通なのは、その部分である。そして残りの半分にそれぞれ「人間的な情報」と「バナナ的な情報」が書き込まれているのだ。

ちなみに、人間とネズミのDNAは97パーセントが共通し、同じようにブタは80パーセントが共通である。そう考えると、あらゆる動植物に今まで以上に親近感が湧くのではないだろうか

3Dプリンターで人間の心臓をつくることはできるのか

どんなものでも設計図どおりの立体モデルを生み出してくれる、魔法の装置のようなイメージがある「3Dプリンター」。今や家庭用のものまで発売されており、身近なものになった。

スライスされた2次元の層を一枚ずつ積み重ねていくことで立体的に造形していくという原理だが、液状の樹脂を紫外線で硬化させていくものや、熱で溶かした樹脂を重ねていく方式のものなど、最近では種類も増えている。

ところで、2019年にイスラエルで、この3Dプリンターで驚くべきものの製造に成功したというニュースが流れた。

それは、人間の心臓である。血管も組織もきちんと備わっており、概念としては人間の心臓と同じ機能をもたせることができるというのだ。

ただし、まだ実験段階であり、大きさはウサギの心臓ほどでしかない。また、ポンプのような動きをして血液を体中に送り出すようになるまでには、まだまだ研究が必要だという。

しかし、心臓に疾患のある末期の心不全患者の治療といえば、現在では心臓移植以外には方法がない。

3Dプリンターでつくられた心臓が本当に人体の中で機能すれば、医学界にとって革命的なできごととなるだろう。

今後この研究がどう進んでいくか、世界中の期待と注目を集めている

人間の鼻は何種類の匂いを嗅ぎ分けられるのか

人間の五感にどれくらいの能力があるのかを正確に知ることはむずかしいが、多くの研究者は、人間の目は数百万の色を識別することができ、耳は約50万種類の音を聞き分けることができると考えている。

では、鼻に関してはどうだろうか。何種類の匂いを嗅ぎ分けることができるだろうか。

動物にとって嗅覚は重要である。食べ物を目の前にして、食べてもいいものか、毒物などが含まれていないか、あるいは腐敗していないかを知るには匂いが重要な手がかりになる。

それもあって、五感の中でもとくに嗅覚は記憶に残る期間が最も長いといわれる。

そんな鼻は、果たしていくつの匂いを識別できるかというと、長い間にわたって約1万種類の匂いが判別できるといわれてきた。

ところが、2014年の科学専門誌『サイエンス』に人間の嗅覚の識別能力に関する実験論文が発表された。

それは、128種類の匂いの分子の中から混合したサンプルをつくり、さらにその128種類に10種類、20種類、30種類を混ぜたサンプルをつくって被験者に嗅がせるという実験だった。

被験者はそのサンプル(3本)の中から、ひとつだけ違和感のあるものを選ぶという形で行われた。

この実験の結果、従来考えられてきた約1万種類などではなく、もっとはるかに多くの匂いを嗅ぎ分ける能力があると結論づけられたのだ。

それだけではなく、なんと1兆種類もの匂いを識別する能力がある可能性も指摘されたのである。

ただ、1兆という数を実験的に確認して証明するのはかなり無理がある。しかし人間の匂いセンサーの分子は400種類あることがわかっている。それを組み合わせることにより嗅ぎ分けることができる匂いは、計算上は約1兆種類になるということだ。

ただしこれは、あくまでも理論上の数字ということになる。有機物質の中で匂いがある物質の数は限られており、その組み合わせによってできる匂いの数は数十万種類といわれる。

つまり、人間に1兆種類の匂いを嗅ぎ分けられる能力があったとしても、匂いそのものは、それほどたくさんは存在していないということだ。

わたしたち人類にも〝冬眠〟していた時期があった!?

2006年、関西地方の山で遭難した男性が24日ぶりに救出されたというニュースが日本中を駆け巡ったことがある。

この男性は遭難してから飲まず食わずで、発見時の体温はわずか22度。呼吸も心拍も弱かったものの生存しており、その後、社会復帰を果たしたという後日談も伝わった。

しかし、医療の常識ではこの状態での生還は考えられず、一部の専門家の間で男性は冬眠状態だったのではないかという見方も出たほどだった。

果たして人間は動物と同じように冬眠できるのか。その答えは現段階ではノーと答える専門家が多いだろう。動物の冬眠のメカニズムそのものも、じつはさほど解明されていないこともある。

だが最近、そのヒントになりそうな興味深い説が浮上した。なんとヨーロッパの古代遺跡で、ネアンデルタール人が冬眠していたかもしれない痕跡が見つかったというのだ。

場所はスペイン北部のアタプエルカにある「シマ・デ・ロス・ウエソス」という洞窟遺跡である。

そこでは、およそ40万年以上前のネアンデルタール人の化石とみられる骨が見つかっており、このほどその損傷状態を詳しく調べたところ、同じく洞窟に残されていたクマなど、冬眠する動物の状態と類似していたというのだ。

一般に冬眠は骨の形成に大きな影響を与える。もしも人間がクマのように冬眠すれば、筋力が衰えるのと同時に骨量も減少し、まともに歩けなくなると推測されている(クマは目覚めてさほど経たないうちに、ちゃんと歩行できる)。

この洞窟で発見された人骨は、まさに何度も冬眠を繰り返し、成長が妨げられたような痕があったというのである。

とはいえ専門家の間でも見解は分かれており、冬眠説を支持する声はけっして多くはない。ただ、なんらかの条件が揃うことでヒトの冬眠が可能だとするならば、それはそれで人類にとっては新たな可能性が広がるニュースといえるだろう 

 

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PROFILE
おもしろサイエンス学会

「科学の目」を通して世の中を見ることをモットーに、取材・執筆活動を展開しているライター集団。宇宙・生物・気象・地学から最新テクノロジーまで、「理系分野」の専門的な内容を整理し、わかりやすくナビゲートすることで定評がある。

そこを教えてほしかった理系の雑学 (青春文庫 お- 61)