「ひとりじゃ淋しい」は思い込み? ペット多頭飼いの前に確認する事

複数のペットを飼っている人の中には、「最初に飼っていたペットのためにと思って、もう一頭をお迎えしたら、ケンカばかりになってしまった」という人が少なくありません。そうならないためには、どうしたらいいのでしょうか。アニマルコミュニケーターとして、多くの飼い主さんの相談にのってきた大河内りこさんにお話を伺いました。

言葉のエネルギーから人間が話している内容がわかる

前回の記事で、ペットは家族の心の声を聞いているとお伝えしましたが、「人が話している内容なんて、ペットにわかるはずがない!」と思う方もいるかもしれません。
でも、わかるのです。

確かに、人間同士が会話をするように言葉を細かく理解しているわけではありませんし、理解度は動物の種類にもよります。

「おすわり」や「ふせ」などのコマンドの話をしているわけではありません。

あなたのペットちゃんの仕草から、「もしかして、このコ、話がわかってるんじゃない?」そんなふうに感じたことがあるのなら、理解しているのだと思います。

動物たちは、言葉のエネルギーを感じています。

言葉には、言霊が宿ると言われます。言霊は言葉に乗ったエネルギー。ペットたちは、そのエネルギーを聞き取っているのです。

こんな例がありました。

体調不良で呼吸も苦しそうな猫ちゃん。獣医さんにも、先はそう長くはないと告げられたそう。どんどん酷くなる姿を見かねたご家族は、「辛い状態が続くようなら、安楽死も考えないと」と話し合ったそうです。

その翌日、その猫ちゃんは静かに息を引き取りました。

「聞こえてたんでしょうね」飼い主さんは、そうおっしゃいました。

その猫ちゃんは、飼い主さんが決断を下す前に、自ら決めてったように感じました。なぜなら、飼い主さんは安楽死を選択することを、とても迷い悩んでいましたから。

飼い主さんが苦しまないように、猫ちゃんなりの思いやりだったのでしょう。猫ちゃんが「安楽死」という言葉を理解しているわけではなくて、ご家族みんなが交わす言葉の雰囲気を感じ取っているのです。

動物たちは、人間のような言葉を持たない代わりに、感じるチカラが抜群です。

よく知られているのが、離れた場所から家に帰ってくるという帰巣本能。渡り鳥たちも、翼にナビゲーションシステムを搭載しているのではないかしら? と思いたくなるほど、その季節になれば、また同じ場所に帰ってきますよね。

蛇の中には赤外線を感じ取ることができる種類もいます。人間には見えない暗闇の中で遠くにいる獲物の体温を感知できるのです。そもそも、人間の感覚器官と、動物各々の感覚器官とは違うのです。

ペットとして人間生活の中にどっぷりと浸って、人間寄りの生活に慣れている動物だとしても、彼らの感じ取る能力は、人間とは比べ物になりません。

人間の感覚で、なにげなく動物たちを見てしまうと、思い込みにとらわれたり、彼らを勘違いしたまま捉えたりしてしまいます。動物の立場に立ってみて、「何をどう見て、どう感じているのだろうか?」と想像してみてください。それが相手に対する優しい思いやりにもつながりますね。

「もう一頭飼おう」と思ったとき、考えたいこと

多頭飼いを考えたとき、どうかこの「動物の立場に立って考える」という意識を持っていただければと思います。

「お留守番が長いので、ひとりじゃ淋しいと思ってもう一頭を迎えました。

ところが仲が悪くて、お留守番のときには別のお部屋で隔離しなければなりません。一緒にして出かけるなんて、怖くてできません。何が起こるかわかりませんから。これでは、何のためにもう一頭をお迎えしたんだか……」

「同じ犬種、同じ毛色を迎えたのに、性格が白と黒くらい違う!」

理想と現実の狭間で、期待を裏切られたような気分になってしまう。こんなケースが少なくありません。

どちらのコも同じようにかわいがっているつもりなのに。なにが、そんなにお互い気に入らないことがあるのか……。なにか間違っているのかもしれないと思いわずらう、心優しい飼い主さんもいらっしゃいます。

飼い主さんは、愛しい我がコのために、良かれと思ってやっています。だけれど、時には、その我がコの思いと、ちぐはぐなこともあるのです。

たくさんの仲間とワイワイ賑やかな環境が好きなコもいれば、飼い主さんの愛を独り占めにしたいコもいます。

飼い主さんの愛を一身に受けたいのに、ある日突然、見知らぬコがやってきて、

「今日から新しいコが来たよ。仲良くしてね!」

と告げられたら、どうでしょう?

愛しのダーリンが、突然、愛人を連れてきて、「二人で仲良くしてね!」って。それくらいのショックです。愛人さんは、自分が二番目だってわかっているのだからいいでしょう。けれど、先住さんの気持ちは怒り、嫉妬、悲しみ……。

「わたしがいるときはいいんですけどね、いないと大ゲンカになるんです」

それは当然のことだと思いませんか?

飼い主さんが良かれと思っていることが、ペットには迷惑、ということはよくあります。先住のペットちゃんを含め、ご家族みんなでよく話し合ってみてください。

「なぜ、もうひとりほしいの?」
「なんのために、もうひとり迎えるの?」

その本当の理由を自分に問いかけてください。

「淋しい」というのは、本当にそのコから聞いたことですか? もしかしたら、あなたが「淋しかろう」と憶測したのではないですか? 淋しいのは、もしかしたら、あなた自身かもしれませんよ。

仲良くできるかどうかには個体差がある

もし、すでに新しいコを迎えることが決まっているのなら、先住のコに尋ねてみてください。そして、新しいコを迎えることを何度も伝えてください。

すでに難しい関係性にお悩みであっても諦める必要はありません。「仲が悪かった二匹」というレッテルを貼られたまま一生を終えてほしくないのです。

そもそも、イヌという動物は群れを作る動物ですので、基本的には、多頭でいることは可能です。

しかしながら、イヌではなく、ワンちゃん。つまりペットとして飼われるようになり、母犬の妊娠出産の環境や仔犬の生育環境は、自然からはかけ離れています。そして、やはり個体差は大きいのです。

多頭飼いとなれば、どうしても飼い主さんの愛情をシェアすることになります。あからさまに焼きもちを焼かなくても、遠目でジト~っと、他のコが飼い主さんと仲良くしているのを見ている姿に、ハッとした経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

看病や介護でお世話がかかるコと一緒に暮らしているコは、「仕方ないから」とその状況を容認していますが、やはり心の隅で「いいな~」と思っているコもいるものです。もちろん独立心旺盛なコもいますので、一概には言えませんが。

アニマルコミュニケーションで、それぞれのコの気持ちを聞いて、みんながうまくいくように折り合いをつけていくことも可能です。ペットちゃんたちのご希望と、飼い主さんの要望を、うまく擦り合わせてみてください。

ペットちゃんたちに代替案を提示して交渉してみるのもいいですよ。互いに歩み寄り、合意に達することができると、心地よく過ごせるようになるでしょうね。

賢くて愛情深いコだと、飼い主さんの気持ちを思いやって、飼い主さんの意向に全身で添おうとします。

「ママがいいなら、それでいい」

なんて健気なんでしょう。ペットも我慢をするのです。

うまくいかない原因は必ずあります。

それが、どうしても生理的にイヤなんだという場合だってあります。

「ニオイが嫌なの」というワンちゃんの声を聞いたことがあります。体調不良で実際に臭いが出ているのであれば、それを改善してあげることで対処法になるとは思います。二頭の間に障壁があり、それをニオイと表現しているのなら、その障壁を解消してやることで、対処法になることもあるでしょう。

いろいろ試したけれど、どうしても、そりが合わないことだってあります。

そこは人間だって同じ。だったら、そのような関係なのだと認めて、そのように対処してあげてください。何も対処をされずに、ただ「仲良くしてほしい」というのは、彼らの気持ちを想うとどうしても合点がいかないのです。

ペットたちが「勘弁してよ!」と言うのも、飼い主さんには申し訳ないのですが、「そうだよね……」と、彼らに半肩担ぎたくなります。

彼らの心の叫び声を聞いてやってください。

 

PROFILE
大河内りこ

アニマルコミュニケーションを科学するコミュニケーター育成のプロフェッショナル「DearMum」代表。日本催眠学会会員。
1968年生まれ。愛知淑徳大学を卒業後、結婚し渡豪。20年間の専業主婦を経た後、アニマルコミュニケーターへ転身。現在は、アニマルコミュニケーター養成講座、個人セッションなど幅広く活動している。
飼い主とペットの関係は「合わせ鏡」と語る著者のもとへはペットたちの問題行動に悩む方、お空に還ったコの声を聴きたいという方、またペットロスなど多くの相談が寄せられる。

その子(ペット)はあなたに出会うためにやってきた。

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  • 作者:大河内 りこ
  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)