朝食抜きは無意味! コンビニ食でも血糖値をコントロールする方法

コンビニ食

血糖値をコントロールして、なんとか糖尿病になるのを避けたいと思う人は多いでしょう。でも、そこで朝食や昼食を抜くのはまったく無意味。これまで5万人以上を診察してきた糖尿病の専門医である森豊さん、腸の専門医である松生恒夫さんが、血糖値を上げない食習慣のコツを紹介してくれます。

朝は少しでも食べた方がいい理由

一日の総摂取カロリーを考えたとき、一食抜けばその分のカロリーが抑えられるので、ダイエットのため朝食を抜いている人は少なくないようです。なかには朝は忙しくて、ご飯の支度をしたり、食べたりする時間がない……という理由で朝食抜きにしている人もいるでしょう。

しかし、血糖コントロールの観点からすると朝食抜きは絶対にNGです。まだ糖尿病になっていない健常の人を対象に、一日の総摂取カロリーは同じにして、

  1. 朝、昼、夕食と一日三食をバランスよくとった場合
  2. 朝を抜いて昼、夕食の一日二食にした場合
  3. 朝、昼を抜いて夕食だけの一日一食にした場合

で、血糖値・インスリン値(血中のインスリン濃度。インスリンがどれだけ分泌されているかを示すもの)がどう変化するかを測った実験があります。

一日の総摂取カロリーを三食に分けてバランスよくとった「1」の場合、朝、昼、夕食後と三回、血糖値もインスリン値も比較的ゆるやかな山を形成しています

1日3食の際の血糖値、インスリン値の変化

それが、朝食を抜いて二食の「2」になるとどうでしょうか。血糖値もインスリン値も昼食後にグンと上がり、夕食後も高い値を示しています。

朝食を抜いた際の血糖値、インスリン値の変化

一日の総摂取カロリーは同じなのに、三食と二食では、明らかに二食のほうが血糖値の乱高下が起こっていることが一目瞭然です。インスリンの無駄遣いをしていることになります。このように血糖値の乱高下が大きくなると、そのぶん血管への負担も大きくなるので注意が必要です。

さらに、朝、昼を抜いて夕食だけ、つまり一日一食の「3」だと、さらに夕食後の血糖値・インスリン値の上がり幅が大きくなります。

朝食・昼食を抜いた際の血糖値、インスリン値の変化

一日にとった総カロリーは同じであるにもかかわらず、食事のしかた次第で、血糖値の上昇幅も、インスリンの分泌量も大きく変わってくることが、ここからおわかりいただけると思います。

朝は時間がないという人でも、少しでもいいので朝食をとる生活習慣を身につけることが、血糖値を上げない鉄則なのです。

糖尿病を避けるには「夕食」がカギ

糖尿病を予防・改善し、血糖コントロールをよくする食事法において朝食も大切なのですが、最大のポイントになるのが「夕食」です。「夕食を制する者が糖尿病を制する」といっても過言ではありません。それくらい現代人の糖尿病の予防・改善、血糖コントロールにおいて、夕食の占めるウエートが大きいのです。

夕食が重要な理由は、「夕食=ビッグミール」になりやすいことが挙げられます。ビッグミールとは、いわゆる大食い・ドカ食いのこと。時間に制約がある朝や昼に比べて、夕食は落ち着いてとれることが多く、一日の仕事が一段落したあとということもあって、ついつい朝や昼よりも食べ過ぎてしまいがちです。

中国ハルビン医科大学などが5000人近い米国人の糖尿病患者を対象に行った研究では、夕食の総エネルギーの5%を朝食に置き換えるだけで、糖尿病リスクが4%、心血管疾患リスクが5%、それぞれ減少したそうです。それだけ夜の食事はリスクが高いのです。

血糖コントロールの面から見ると、朝や昼と違って、就寝中はあまりエネルギーを使わないので、夕食でドカ食いすると、食事から得たエネルギーの多くが貯蓄に回ってしまいます。つまり、朝食や昼食より太りやすくなるのです。

また、就寝中ずっと高血糖の状態が続くため、翌朝を血糖値が高い状態でスタートすることになります。そのため、ちょっとした食事でも高血糖になりやすく、場合によっては、その後2~3日の血糖値の変動にも悪影響を与えてしまいます。

とくに、「朝食抜き→昼軽く」という食事スタイルだと、その反動で、夜はビッグミールになりがちです。通常、人間は日中に活動しますので、朝や昼はしっかり食べても即座に活動エネルギーに回され、消費されていきます。

したがって、しっかり食べるべきは朝食、昼食であって、就寝前の夕食は少なめに食べるのがいいのです。

コンビニ食でも血糖値はコントロールできる

夕食は就寝の3時間前までに早めにとるのが理想ですが、仕事などの関係でそうもいかない人も多いでしょう。そうした場合、分食で夕食をとること(夕方の食事に炭水化物をとり、遅い夕食は軽くとる)をおすすめします。

夜遅くまで空腹を我慢すれば、どうしても夕飯がビッグミールになりがちです。それを防ぐためにも、分食がベターなのです。

就寝前に糖質を含む炭水化物をとり過ぎると血糖値が上がりやすく、かつ下がりづらくなるので、炭水化物はできるだけ夕方にとることを意識するといいでしょう。たとえば、コンビニなどで食べ物を調達する場合は、パックに入ったサラダと玄米おにぎりなどがいいでしょう。

パンならライ麦パン、麺類なら食物繊維が豊富に含まれている山菜そばをチョイスしてはいかがでしょうか。副食として買ってしまいがちなナッツやチーズ類はとり過ぎるとカロリー過多になるので、分食でとる夕方の食事にはあまり向いていません。同様に果物は一般的に午前中にとったほうがよいので、夕方にとる場合は食べても少量に抑えましょう。

一方、遅い時間の夕飯は、食後の血糖値を上げないためにも、食物繊維、なかでも水溶性食物繊維が豊富な食べ物を含めるのがおすすめです。根菜類やきのこ、海藻類などが入ったサラダや納豆などの豆類を使用した食品を意識してとるといいでしょう。

水溶性食物繊維は水に溶けるという性質から、ネバネバしたゲル状に変化し、食べ物の移動をゆるやかにする働きがあります。そして腸内を移動していくとき、コレステロールやコレステロールから作られる胆汁酸、糖質などを吸着する働きがあり、吸着したものを便と一緒に排泄させます。

そのため、水溶性食物繊維をとることで、腸内の糖質の吸収を抑え、コレステロールを低下させることにつながり、ダイエット・糖尿病、高血圧予防などさまざまなよい効果が期待できます。また、腸内でよい働きをするといわれる善玉菌の栄養となり、善玉菌を増やす働きもあります。

日頃からの食習慣を少し工夫するだけで、血糖値をコントロールする生活を無理なく続けることができるでしょう。健康的な生活を長く続けるためにもぜひ実践してみてください。

 

PROFILE
森 豊

東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科教授、同大学附属第三病院。糖尿病・代謝・内分泌内科診療部長。医学博士。東京慈恵会医科大学卒業後、40年にわたって糖尿病患者を診察し続けてきた糖尿病治療・研究のエキスパート。

PROFILE
松生 恒夫

1955年東京生まれ。松生クリニック院長。医学博士。東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2004年、東京都立川市に松生クリニックを開業。現在までに5万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた第一人者で、地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。おもな著書に『「腸ストレス」を取り去る習慣』『「腸の老化」を止める食事術』『「炭水化物」を抜くと腸はダメになる』(いずれも小社刊)などがある。

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