入社3年目までの若手社員は“勝つこと”より“負けないこと”が先決

働き方改革が推進されるなかで新型コロナウイルス禍が発生し、時代はますます混迷を深めていますが、より効率的な働き方が求められることは変わりません。そんななかで、「自分は会社にうまく適応できていない…」と悩む若手社員も多いのではないでしょうか。これまで1,000社以上の会社と関わり、のべ3万人以上の経営者や従業員をサポートしてきた教育コンサルタントの森憲一氏が、若手社員が会社で負けないための姿勢について解説してくれました。

働き方改革がもたらした現実とは?

近年、働き方改革が推進され、長時間労働の是正に向かって社会が動き出しています。残業時間を減らすことで仕事以外の時間を増やし、消費を活発化させるのが狙いです。

そのほか、育児時間の確保や政治への参加、自己啓発による能力の向上なども見込まれています。

その流れから、ワークライフバランスや有給休暇の取得などのプラス面ばかりが注目されていますが、実は落とし穴があります。

働き方改革によって多くの会社が勤務時間を減らしたり、さまざまな働き方を提案したりしていますが、人口減少による人手不足は解消されていません。

その点を踏まえると、これからの時代は「少ない人数」「短い時間」で、「今以上の業績」を達成しなければならないのが現実です。

つまり現代は、一人ひとりの能力や成果が重視される厳しい時代になっています。

勝つことよりも負けないことが重要

能力や成果が求められる厳しい時代となりましたが、若者は会社でどのように仕事と向き合っていけばよいのでしょうか。

社会を生き抜くためには、勝つことよりも負けないことを考えることが重要です。

現在、良い仲間や上司に囲まれて仕事をしている幸運な若手社員もいるでしょう。

しかし、遠くない将来に異動や転勤が発生したり、社長やオーナーの代替わりで経営方針が180度変わったりすることもあります。それにともなって、恵まれた環境から最悪な環境に一変してしまうこともあるかもしれません。

現在は新型コロナウイルスの発生によって、多くの方が経済環境の変化に苦しめられています。

仮に、最悪な環境に陥ってしまったとき、負けてしまうとおしまいです。負のループから抜け出すのは本当に難しいです。だからこそ、勝たなくてもいいから負けないことが重要だと思っています。

会社で負けないための姿勢3つ

勝つことよりも負けないことが重要だとお伝えしました。しかし、会社で働いていれば嫌な思いをして辞めたくなってしまうケースも充分に考えられます。会社で負けないための姿勢を3つご紹介します。

姿勢1.自分を取り巻く環境を知る

犬も歩けば棒にあたるという諺があります。犬がウロウロしていると、人に棒で叩かれることをあらわしています。つまり、でしゃばると災難にあうことを戒めている諺です。

会社でも同様です。現実を知らないと、諺の通りに叩かれてつぶされてしまう可能性があります。

したがって、会社で負けないためには「知る」ことが大切です。

たとえば、仕事をしていく上では商談や営業、マーケティングのやり方を知る必要があります。仕事のやり方だけでなく、会社や商品、仲間、上司なども知らなければなりません。

なぜさまざまなことを知る必要があるのかというと、自分を取り巻く環境を深く知ることで、自分の生かし方や振舞い方を考えられるからです。

何も知らずに自分の意見を主張してしまうと、叩かれて潰されてしまいます。イキイキと働き続けるには、早まらずに知ることから始めましょう。

姿勢2.聞き流す(やり過ごす)

仕事は結果が全てであり、結果が出なければプロセスは無意味になります。残念ながら、これが社会の現実です。後で傷つかないように、そう考えておいたほうがよいでしょう。

そのうえで会社で負けないためには、ひどいことを言われても聞き流せる技術を身に付けることが大切です。聞き流すためには4つのリアクション法を身に付けることをおすすめします。

「リフレイン」「なるほど」「あ、そうか!」「ありがとうございます」の4つです。この4パターンのリアクションで上司とのコミュニケーションは乗り切れます。

◎リフレイン

「リフレイン」は、相手の言葉を繰り返すことであり、相手の真意を引き出せます。詳しく説明してもらうことで、相手の感情を落ち着かせるのも狙いです。

◎なるほど

「なるほど」は、相手に感心していることを伝える効果があります。「はい」「わかりました」はNGワードであり、相手からすると「本当に伝わっているのか(わかっているのか)?」と不安になる言葉です。

◎あ、そうか!

「あ、そうか!」は、気づいたときに飛び出す言葉です。そのため、相手からすると話した内容を理解してもらえたことによる自己肯定感が得られます。少しだけ機嫌がよくなるかもしれません。

◎ありがとうございます!

「ありがとうございます!」は、会話を終わらせるときに使います。これを言われて悪い気分になる人はいません。大事なのは、実際に成果が出たときです。助言のおかげで成長できたことを上司に伝えると、可愛い部下だと思ってもらえます。

【使い方の例】

使い方の例を見てみましょう。

上司 「なんでそんなやり方しかできないんだよ!」
あなた「そんなやり方……(リフレイン中)」
上司 「いやだからさ、✕✕とかやってみたのかってことだよ!」
あなた「なるほど」
上司 「✕✕やると生産性が上がることくらいわからないの?」
あなた「生産性が上がる……(リフレイン中)」
上司 「だからさ~~~、そうすると生産性が上がるんだよ!」
あなた「あ、そうか!」
上司 「そうかじゃないよ。ちゃんとやってくれよ!」
あなた「ありがとうございます!」

姿勢3.マイナス感情を大切にする

相手からひどい言葉で罵られたときは、聞き流しながらこのように考えてみてください。

「どうしてこの人は、こんな言い方をするのだろう?」「この人の過去に、何があったのだろう?」など、言葉の向こう側にある相手の物語に思いを馳せてみます。

すると、相手に対する恐怖や怒りのマイナス感情が興味に変わるのです。相手への見方が変わることで、少し大人の視点で相手を受け止められます。

また、仕事がつまらないというマイナス感情もあります。つまらないと思ってはいけないと感じる方もいるかもしれません。真面目な人ほど、そんなことを考える自分がダメだと責めてしまいます。

感情は、自分を知るために神様が与えてくれた宝物です。つまらないと感じたときは、マイナス感情を否定しないで、つまらない理由を考えてみましょう。

仮に原因としてチームの気持ちが合っていないと感じたのであれば、反対にチームの気持ちが合っていると自分は楽しくなることもわかります。

つまらないことの裏返しは楽しいことです。つまらないと感じたらチャンスです。マイナス感情と向き合うことで自分の価値観を見直せば、働き方や生き方を良い方向へ変えていけます。

どこにいっても成果を出せる働き方を!

私たちは、ほとんどが凡人であり、上位数%の生き方をしてきたわけではありません。まずはそのことを知って未来を描くことが大切です。

収入が安いからといって、会社から受けた恩を忘れて転職する人もいます。しかし、不満を漏らしていたわりには、望んだ転職先に就けない残念なパターンもあります。

会社を辞めようと思ったときは、「新しい会社で何ができるのか?」を自分に問いかけてみましょう。

もし自信がないのであれば、今の会社で成果を出せる人材になることから始めましょう。

そのために、今回紹介した会社で負けない姿勢がきっと役立つはずです。会社が辛いと思ったときに意識してみてください。

 

PROFILE
森 憲一

社会人のための仕事の学校「ネクサミ白熱勉強会」主催。(株)サードステージコンサルティング代表取締役。(社)日本経営イノベーション協会代表理事。明治大学サービス創新研究所副所長。これまで1000社以上の会社と関わり、のべ3万人以上の経営者や従業員のサポートをし続けて来た、熱血教育コンサルタント。2012年からは、社会人のための仕事の学校「ドラマネ勉強会」を主催、代表講師も務め、業種もまったく異なる会社の従業員同士が学び合い、脅威の成果を生み出す仕組みを確立。経営者からは、「従業員の可能性を絶対に諦めない先生」として定評がある。明治大学、東北芸術工科大学、東洋大学などでも講義を担当。著書に『ドラマティック☆マネジメント』(かんき出版)がある。

入社3年目からのツボ 仕事でいちばん大事なことを今から話そう

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  • 作者:森 憲一
  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)