オンラインでも会話が盛り上がるテクニック「5つの質問」とは?

人とリアルで対面して話す機会がめっきり減ってきた昨今。以前と比べて、コミュニケーションの難易度が上がっていると言えます。しかし、「あいづち」や「質問」を少し工夫するだけで、画面越しでも会話は円滑に進むのだとか。元・NHKのニュースキャスターで、現在ビジネスコンサルタントとして活躍する阿隅和美さんに、対話を盛り上げるための具体策と心得を教えていただきました。

「ピンポイント」で打てば、あいづちがマジックワードになる

あいづちは、話の潤滑油と言われています。うまいあいづちが打てると、初対面の人とでも会話が弾みます。

しかし、むやみにあいづちを打てばいいというものではありません。

では、どんな相手とも良好な関係をつくるためにはどうしたらいいでしょうか?

コツは、相手のセリフに対してピンポイントであいづちを打つこと

例えば、相手が「最近、かなり真剣にゴルフをやっているんだけど……」という話をしてきたら、

「真剣に、ですか!それはすごいですね」
「ゴルフですか!それはいいご趣味ですね」

などと、具体的に相手の話のどこに反応しているのかを伝えてから、あいづちを打つのです。

あいづちは、ひと言で相手の気持ちに寄り添うことができるマジックワードです。

相手の気持ちを100%察するのは難しいですが、なぜそんなことを言ったの? その言葉の裏に隠された気持ちは? と想像しながら話を聞いていると、適切なあいづちが打てるようになります。

話を膨らませたいときは「5つの質問」が効果的

対面なら驚きの表情を添えるなど、非言語を使ってさらに表現豊かなあいづちも打てるでしょう。

一方、オンライン会話でもっと話を膨らませたい、という時におすすめなのが、「質問」を使う方法です。

相手が話したい内容について、次の5つの質問を順番にしていくのです。

1.動機=なぜ始めたのか……始めたきっかけや動機を聞きます
2.成果のプロセス……どんなところが面白いのか、成果のプロセスを聞きます
3.打ち込み具合……どのくらい真剣に打ち込んでいるのかを聞きます
4.やってよかったこと……成果や効果を聞きます
5.学んだことはあるか……得たもの、学んだことを聞きます

インタビュアーになったつもりで、順番にこの5つの質問をしていくだけで、あとは相手が勝手に話してくれます。

この質問は、お客様はもちろん、職場の世代間ギャップを埋めるコミュニケーションにも効果的です。

部下は、自分の価値観を押し付ける上司より、自分たちのことに興味を持って話を聞いてくれる上司とコミュニケーションが取りやすいと感じています。

プライベートのことはあまり話したくない、という若手も増えていますが、その人が話したいこと、趣味などをテーマに取り上げれば、饒舌に語り始めたりするものです。

ぜひ、テレワークで関係性が希薄になっているなと感じていたら、1on1ワンオンワンの対話や雑談に取り入れてみてはいかがでしょうか?

ネガティブな話題はどう切り返せばいい?

お客様と打ち解けてくると、仕事と直接関係がない話題になることもあります。気持ちを開いてくれた証拠なので喜ぶべきことです。

ただ、「新規受注が増加した」「従業員が成長した」などポジティブな話題なら「それはよかったですね!」とあいづちも打ちやすいのですが、「実は、息子が第一志望校に落ちた」なんていうプライベートでのネガティブな話題だと、リアクションに困ります。どうしたらいいでしょうか?

たとえば、次の返し方は悪い例です。

・相手「実は、息子が第一志望校に落ちてね……」
・自分「それは最悪ですね」

どういうつもりでその話題を出しているかがわからないうちに、こんなふうに自分勝手に「最悪」と決めつけるのは禁物。人は自分で「最悪だよ……」と愚痴をこぼしたとしても、他人から言われると「君に言われる筋合いはない」と反発したくなることがあるからです。

強がりを言っていても、内心は慰めてほしかったという期待を裏切ることにもなりかねません。言葉と気持ちは裏腹。話の額面通りに受け取ってはうまくいかない時もあるのです。

こんな時は、いったん「寄り添う言葉」をかけて様子を見るのです。

ネガティブな話題を振られて困った時には、何か感想を言わなきゃ、アドバイスをしなきゃ、と慌てないこと。

良い悪いを直接、自分の物差しで判断せず、いったん気持ちに寄り添う言葉を伝えて、相手の表情や態度、声のトーンを観察するのです。

そして、相手が明るいトーンで「いや~、まいったよ」と軽い様子なら、笑えるエピソードのつもりだな、と想像して「それは大変でしたね~」と労いの言葉をかければいいのです。

続けて、「でも、○○さんのお子さんなら、必ずこれをかてに立派に成長されますよ」という励ましの言葉を添えていくのもいいでしょう。

一方、もし「かなり落ち込んじゃって……」と暗いトーンで落胆している様子だったら、「はたで見ている親もつらいところですね」と共感の言葉をかければ、大きく外すことはありません。

相手の気持ちが見えづらいオンライン会話で、一番大切なこととは?

では、これがオンラインでの会話の場合はどうでしょうか?

オンラインの場合には、相手の気持ちを酌み取るヒントが少ない中でリアクションを取らなければいけないので、難易度は高くなります。

そこで難しい時には、相手の気持ちではなく、自分を相手の立場に置き換えて、「自分だったら○○です」とリアクションを取るのです。

たとえば、

・「それはさぞ残念だったでしょう。私だったらしばらく落ち込んで部屋から出られないかもしれません」

・「私が親なら、どう励ましていいか、途方に暮れるところです」

など。こんなふうに、自分事に置き換えて伝えるのです。これでワンクッションはさんで、相手の様子をいったん確認してから、会話を続けていけばいいのです。

人の心は十人十色。どんなに頑張っても100%相手の気持ちを理解することはできません。しかし何より大切なのは、相手の気持ちを想像してみること。

特にオンラインやメール、電話、SNSなど直接顔を合わせていない相手だと、ちょっとしたニュアンスが伝わりにくいので、「想像力」を豊かにすることが良好なコミュニケーションを生む基本になります。

 

PROFILE
阿隅和美

WACHIKAコミュニケーションズ株式会社 代表取締役。
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わり、あらゆるジャンルの人々の「声」に触れてきた豊富な経験を持つ。アナウンサー名:瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、のべ1万5000人以上に対して、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)があり台湾でも翻訳されている。
ホームページ:http://wachika.com