リーダーを目指す若手社員が知っておくべきたった一つのこと

地位を望まない若者が多くなってきているとも言われますが、やはりモチベーションを上げるには、会社でリーダーとして主導的に仕事をしたいもの。しかし、リーダーの役割や意味をはき違えると、独善的な指導者になってしまう可能性があります。後輩や部下に信頼されながら、各自の能力を引き出すにはどうすればいいのでしょうか。(株)サードステージコンサルティング代表取締役の森憲一氏に、若手社員がリーダーを目指すために知っておきたいことについて解説してもらいました。

そもそもリーダーの役割とは?

「人は、必要とされることが、必要だ。」

これは私が一番大切にしている言葉です。人は自信を持てるからこそ努力でき、チャレンジできます。努力してチャレンジするから成果を出したり、能力を向上させたりできます。

しかし、現実は厳しいです。内閣府が発表した平成25年度の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を確認するとわかります。日本の若者(13~29歳)が「私は、自分自身に満足している」と答えた割合は45.8%でした。70%を超える外国と比べて低い結果だといえます。

日本の若者はおそらく厳しい環境で生きているのでしょう。人は、成長するにつれて、受験や就活、恋愛、結婚などで自信を失ってしまうことがあります。ましてや、現在は新型コロナウイルスによって経済が大混乱しています。しかし、現実社会は待ってくれません。

では、今いる会社で一人ひとりが自信を持つためにはどうすればよいのでしょうか。結論として、社員が会社を自分の居場所だと思えるようになることです。

リーダーにとって最も大切な仕事は、部下たちに「自分は必要とされている」と感じさせることです。

リーダーを目指す若手社員が知っておきたいこと

自分はリーダーに向いていないのでは…? と悩んでいる若手社員もいるかもしれません。リーダーを目指すための条件や、リーダーに求められる能力を確認していきます。

リーダーの条件

ドラッカーによると、リーダーの条件は下記の通りです。

「リーダーがリーダーである理由は一つしかない。『フォロワー』(信頼してついてくる人)を持つことである」(文明とマネジメント研究所『概説ドラッカー経営学⑼』)

「リーダーとしての能力の第一が、人の言うことを聞く意欲、能力、姿勢である。聞くことはスキルではなく姿勢である。誰にもできる。しなければならないことは、自分の口を閉ざすことである」『ドラッカー名著集⑷ 非営利組織の経営』

有能なリーダーといえば、カリスマ性があって、エネルギッシュで、説得力がある人を思い浮かべてしまいがちです。

ドラッカーによるリーダーの条件をふまえると、私たちは年齢や立場に関係なく、その歳に必要とされる「応援し、応援される」生き方について考えることが大切です。

リーダーに必要な能力

リーダーに必要な能力を思い浮かべてみてください。コミュニケーション力やプレゼンテーション力などが思い浮かんだ方もいることでしょう。

リーダーにとって大切なのは、発信力よりも受信力です。

具体的には、相手を感じる力、相手の信号をキャッチする力、相手の変化に気づく力です。

優れたリーダーをたくさん見てきましたが、優れたリーダーは能力が高い人ではありません。高い能力を引き出せる人だと実感しています。

仕事で成果を出すには斬新なアイデアを生み出さなければなりません。受信力は、アイデアを生み出す際に大切な力です。

一人の人間が持っている物語(情報)がアイデアを生み出す源泉になるからです。つまり、人を見る視点や人から引き出す視点が大切だとわかります。

リーダーになりたいのであれば、「君ってホント、いろんな人のことをよく知っているね!」といわれるくらいになるまで、受信力を高めるようにしましょう。

リーダーを志す上で意識したい新入社員の過ごし方

若手社員がリーダーを志していく上で、入社1年目から3年目までに心がけたい過ごし方を解説していきます。

入社1年目

入社したての社員としては、少しでも早く成果を出して認められたい!と思ってしまいがちです。しかし、1年目に焦ったり力んだりするのは、百害あって一利なしです。

というのも、まだ信頼関係が築けていない人に仕事は任せられません。新入社員にとっての1年目は、会社や同僚、上司、顧客のことを知る期間です。

どうすれば社内や社外から応援してもらえるのかを学習します。

入社2年目

2年目は「知ること」や「応援される」ための学習や工夫はもちろん、新入社員や後輩を「応援する」期間にしなくてはなりません。

教えることによって、人は学習に対する理解を深められるといわれています。また、後輩を応援することで、後輩から憧れられる存在になることも重要です。

そのためには、自分の手柄だけを考えずに、後輩にも手柄を持たせたり、成果を出させたりする姿勢が求められます。

入社3年目

3年目になると、少し責任のある仕事を任されるようになります。ビジネスパーソンとして、大きな成果を目指して頑張るチャンスが巡ってきます。しかし、焦ってはいけません。

たしかに、30歳くらいまでは伸び盛りの時期で、エネルギーもやる気もあります。知識や経験も蓄積されていくでしょう。

しかし、高い成果を生み出すには、優れた人であっても一人の力には限界があります。いつになっても応援されることが必要です。3年目の段階では、「周囲に応援される力」を、「周囲を巻き込む力」に変えていきます。

リーダーになるためのコツ

少しの意識を変えるだけで後輩や部下から信頼されるリーダーに近づけます。リーダーになるためのコツをおさえておきましょう。

コツ1.「聞く」のではなく「訊く」

リーダーとして部下の話に耳を傾けようと思ったのに、イライラして相手に指示を出してしまったり、相手の意見を否定したりしてしまったという経験もあるのではないでしょうか。

相手の話を聞きすぎてしまった可能性があります。リーダーが部下の話に耳を傾けるときの目的は、社員が尊重されている実感を持てるようにすることです。

そのためには、受け身で聞いているだけでは不十分です。ときには質問して、相手から話を引き出していく必要があります。

「聞く」のではなく「訊く」のです。訊くという漢字には物事を明らかにするという意味や、積極的に質問するという意味があります。

相手に自分の意見を気持ちよく言わせることが大切です。そのためには、「なるほど」という言葉が役に立ちます。あなたが感心していることを相手に伝えられます。

このようにリアクションを工夫しながら、「聞いてくれてありがとう」と思ってもらえるようにしましょう。

コツ2.手柄を配る

部長:「今月は、なんとか予算を達成することができました。」
社長:「営業部のみんなもよく頑張ってくれているようですね。」
部長:「いえ、まだまだです。私から見ると足りないことだらけです。鍛えていきます。」

あなたの上司がこんな部長だったら、どう思いますか? 少なくとも私は、こんな上司は絶対に嫌です。

なぜなら、部下のスキルが不足しているのに目標を達成できたという言い方をしているからです。つまり、部長は自分の能力が高いことをアピールしています。

人は、自分がいないところでほめられているのを知ると、うれしく感じます。そんな先輩の下であれば、部下はもっと頑張ろうと思います。成長して、成果もあげてくれるでしょう。

リーダーになるためには、手柄を部下に配ることを意識しましょう。

来るべきその日のためにリーダーとしての準備を始めよう!

すべてのリーダーが部下に居場所を作ってあげることが理想的です。しかし、リーダーを志す上で自分を見失いそうになったり、負けてしまいそうになったりすることもあります。

もし、あなたがリーダーを志すのであれば、厳しい現実を理想的な形に変えていかなければなりません。仮にあなたが上司に居場所をつくってもらえなかった経験があっても、部下に「自分で作れ!」というようなリーダーにはなってはいけません。

あなたがまだリーダーでなかったとしても、来るべきその日のために、リーダーとしての準備を行っておきましょう。

 

PROFILE
森 憲一

社会人のための仕事の学校「ネクサミ白熱勉強会」主催。(株)サードステージコンサルティング代表取締役。(社)日本経営イノベーション協会代表理事。明治大学サービス創新研究所副所長。これまで1000社以上の会社と関わり、のべ3万人以上の経営者や従業員のサポートをし続けて来た、熱血教育コンサルタント。2012年からは、社会人のための仕事の学校「ドラマネ勉強会」を主催、代表講師も務め、業種もまったく異なる会社の従業員同士が学び合い、脅威の成果を生み出す仕組みを確立。経営者からは、「従業員の可能性を絶対に諦めない先生」として定評がある。明治大学、東北芸術工科大学、東洋大学などでも講義を担当。著書に『ドラマティック☆マネジメント』(かんき出版)がある。

入社3年目からのツボ 仕事でいちばん大事なことを今から話そう

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  • 作者:森 憲一
  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)