親世代が知らない! 高校受験で「内申点」を上げるための新常識

高校入試では「内申書が大事」ということをご存じでしょうか? それは知っていても、具体的な評価方法や点の上げ方はわからない、あるいは誤解しているという親御さんが多いようです。内申点アップ請負人として、2000人以上を合格に導いた実績を持つ桂野智也さんにお話を伺いました。

内申点は「テストの結果」だけでは決まらない

「内申点を上げるいちばんの方法は定期テストで良い点をとることだと思っていました」

お母さん、お父さんからいちばんよく聞く声です。

実際、多くの塾では定期テスト対策に力を入れ、定期テストの点数アップを謳っているところもあります。

子どもの学校での様子がわからない一方で、テストの点数は親が目にしやすいものです。それだけにどうしてもテストの点数にばかり目が行きがちです。

もちろん、内申点アップに定期テストの点数は大事です。ところが実際には、内申点は、定期テストの点数に比例するようにつくわけではありません。

だからこそ、「定期テストの点数がいいのに、なんで内申点がこれしかないの?」「なんであの子のほうがテストの点数が低いのに、内申点が上なの?」ということが起こるのです。

これは「内申点のつけ方」を誤解しているから起こることです。内申点の上げ方は中学と高校では違います。高校は、テストの点さえよければ内申点も上がります。

一方、中学で内申点を上げる方法は、定期テストだけではありません。それなのに、テストという一側面だけ切り取って、上がるとか上がらないとかの勝負をしすぎなのです。それって一発勝負の賭けに近い、とても危険な方法だと思いませんか。

たしかに内申点が4か5ばかりの子なら、定期テストの結果は内申点に直結してきます。ただ、3なのか4なのかのギリギリのラインで戦っているような子には、やれることはまだまだあります。まして1や2が多い子は、内申点アップの可能性はたくさんあるのです。

また、親が中学生だった昔と今では評価方法も違います。親は結果(テストの点数)を見ますが、内申点は結果ではなく、プロセス(提出物、小テスト、授業態度など日々の頑張り)が大事なのです

「授業中によく手を挙げる子」は有利?

「うちの子、積極的じゃないから、やる気がないように見られて損なんです」という声もよく聞きます。授業中に手を挙げるというのは、おとなしい子や引っ込み思案の子にとっては、とてもハードルが高いことです。

そのようなお子さんに対して、「もっと手を挙げなさい!」と口で言うのは簡単ですが、言うのもかわいそうになるくらいです。

どうしたら手を挙げられるようになるのでしょうか。これにはさまざまな方法がありますが、まずは「生活ノート」を使うこと。自信をつけさせるために、学校で毎日担任の先生に提出する「生活ノート(生徒が書く生活日誌のようなもの。学校によって名称は違います)」に、「手を挙げる」ということを文章にさせてあげるのです。

授業で挙手をするということは、それ自体が先生とのコミュニケーションです。でも、それがその場ですぐできないなら、まずは文字でのコミュニケーションをとる。

たとえば、「私はなかなか授業で手を挙げられないけれど、社会が得意なので、社会の時間に手を挙げてみようと思います」など。担任の先生の担当科目が社会ではなくても大丈夫です。

こういう話は職員室で共有されることが多く、担任の先生が社会の先生に、「こんなふうに書いていますよ」と言ったりします。

すると、社会の先生が次の授業で、その子が答えやすいような質問を工夫してくれるのです。そのうえで挙手ができれば、内申も上がりやすくなります。職員室全体が、その子を応援するムードになるからです。

社会の先生が、「生活ノート」にアドバイスを書いてくれることもあるかもしれません。

積極性が足りないお子さんほど、「生活ノート」を活用してください。例にあったように、「○○してみようと思います」という書き方をすると、先生は(よほどひねくれている先生でない限り)必ず応援してくれます。

それでもなかなか手を挙げられないお子さんへ。内申点をアップするための戦い方は挙手だけではありません。引っ込み思案には引っ込み思案なりの戦い方があります。

それが、提出物や小テストなどを丁寧に確実にすること。わが子が営業マンタイプではなく事務方タイプなのであれば、徹底的に丁寧な仕事をさせるのです。

意外と重視されるポイント「行動の記録」とは

「入試で有利になるので英検・漢検を頑張らせています」「部活で活躍すると加点されますよね」「部活や委員会のリーダーになると、どれくらい内申点をもらえますか」こんな親御さんの声もよく聞きます。

たしかに英検や漢検を持っていると調査書(内申書)に記載してもらえますから、ないよりはあったほうが有利なのは事実。部活や生徒会、委員会で活躍していることも同様です。

ただ、「うちの子は部活で大会に出たんです!」といくら言ったところで、内申点がボーダーラインに達していなければ、その効力を発揮できません。実際、スポーツ推薦で入学する方法がありますが、どんなに立派な大会に出ていても、内申点が足りなければ推薦資格は得られないのです。

それよりも大事なのは、調査書(内申書)の「行動の記録」のほうです。「行動の記録」とは、「基本的な生活習慣」「自主・自律」「思いやり・協力」といった10項目からなっており、通知表には記入されませんが、学校側の内部資料と調査書(内申書)に記入されるものです。

つまり、親や本人が見ることがないものです。

この内部資料や調査書には、テストの点数を記入する欄はないのに、評定(内申点)や「行動の記録」を記入する欄があることから考えても、その子の「人間性」を見られていることがわかります。

内申点のために「いい子にならなくちゃ」の間違い

内申点は、先生の「心」でつけています。それを「先生の主観で成績が決められてしまう」と評価制度を批判する向きもありますが、私はプラスにとらえています。

いまや大学入試でさえ一般入試と推薦入試、総合型選抜(AO入試)などの割合が半々になっています。その先の就活や会社の人事考課を考えてみても、いつも“誰か”があなたの“人間性”を評価しているのです

「先生の顔色をうかがって、媚びているみたいでイヤ」「子どもに“いい子”の演技をさせたくない」とおっしゃる親御さんもいます。でも、そうではありません。

“媚びた感じ”は先生にもわかります。でも、どうせ人と接するのなら、不機嫌な顔で接するより微笑んでいたほうが、感じがいいと思いませんか。

媚びる、媚びないの話ではなく、人としての礼儀やマナーの問題であり、良質なコミュニケーションをとるためでもあります。いずれ社会に出れば、人当たりよく接することがどれだけ大切か身に染みてわかります。

そうであるならば、中学生のうちからそれを知っておいて損はありません。

「いい子」にならなくちゃダメ、と思っている親御さんやお子さんは、内申点のつけ方を勘違いしています

実際にあった話で、「運動ができないあの子の体育が5で、運動ができるうちの子が3なんて! えこひいきだ! 納得がいかない」と先生にクレームをつけた保護者がいたそうです。

でも、体育では身体能力の高さだけを評価するわけではありません。保健体育の先生用の学習評価に関する参考資料には、「仲間に教えてあげたり、仲間に聞いたりすることを評価する」と「評価基準」がしっかり書いてあります。

運動能力の高い子は、体育の授業で、いちばん高い跳び箱を跳べればいいのではなく、どうしたら高く跳べるのか仲間に教えてあげる。

あるいは、高い跳び箱を跳んでもけがをしないような跳び方を教えてあげる。逆に運動能力の低い子は、どうしたらもっと高く跳べるのかを仲間に質問する。

きれいな言葉で言えば、仲間同士が学び合う姿、協調性を先生は評価しているのです。

このように、内申点は結果ではなく、プロセスを評価するものです。内申点がアップするということは、子どもの「基本的な学ぶための姿勢」が改まり、自ずと親にとって望ましい態度にみるみる変わっていきます。

どんな時期からでも、この学ぶ姿勢を身につければ、子どもの“ベスト”な状態まで伸ばすことができるのです。

 

PROFILE
桂野智也

“内申点アップ請負人”後成塾 塾長。
1976年愛知県豊川市生まれ。大手個別指導塾勤務時代に、テストの点数を上げるための学習では結果が出ない子どもがいることに気づく。試行錯誤の末、「勉強習慣・生活習慣を変えることで成績を上げる」という従来の塾とは異なるアプローチで指導したところ、内申点アップ者が続出。愛知県豊川市に日本で唯一の内申点アップ専門の学習塾「後成塾」を立ち上げる。子どもの自主性・自律性を育て、自分から勉強する習慣が身につくツール「自律ノート®」を考案し、劇的な成果を上げている。
https://www.kousei-juku.jp/