「金属を身につけると落雷に遭いやすい」は迷信[科学の新常識]

子どものころから正しいと教えられてきた科学の常識。しかし、日進月歩で科学技術の研究が進んでいる最近では、以前の常識は“非常識”になっていることもある。たとえば「雷が鳴っているときは金属から離れる」。最近では、逆に金属が大電流から身を守ってくれたこともあるという。その他、科学の新常識を3つご紹介。

金属は雷から身を守ってくれる

「雷が鳴っているときに金属を身につけていると危ない」という話を聞いたことはないだろうか。実は、この話は迷信だということが明らかになっている。金属を身につけていようといまいと、落雷の確率は変わらないというのだ。

落雷の確率は変わらなくても、いざ落雷したときに電気が通りやすい金属を身につけているのはやはり危ないと感じるかもしれない。しかし、むしろ金属を身につけていた方が身の危険を回避できることも明らかになったのだ。

2009年、イギリスの14歳の少女が落雷の被害に遭った。ところが、彼女は火傷や鼓膜の破裂を伴ったものの、心臓などの臓器に損傷はなく命に別状はなかった。彼女を救ったのが、金属でできた音楽プレイヤーだったという。

少女を直撃した雷は、より電流を通しやすいイヤホンを通じて音楽プレイヤーへと流れていったのである。もし彼女が音楽プレイヤーを身につけていなければ、命を落としていた可能性が高いという。むしろ金属を身につけていた方が生存率は上がるということだ。

一見、ゴム長靴やレインコートのような絶縁体の方が安全に思えるが、これらは3億ボルトもの雷には耐えられないという。実際、落雷を受けたレインコートやゴム靴はボロボロになってしまったそうだ。

雷との距離は安心材料にはならない

雷が起こるときは、稲妻が光ってから時間を置いて雷鳴が響くことが多い。これは、自分の場所と雷との間に距離があり、光と音の伝わる速さに差があるからだ。

光は秒速約30万キロと言われており、雷が起こってすぐに稲妻を観測できる。しかし、
音は秒速340メートルでしか進まないため、雷との距離が開けば開くほど、雷鳴が届く
のは遅くなるのである。

このことから、雷鳴が遅れて聞こえてくるときは、まだ雷と距離があるため安全であると言われることもあるが、これも間違っている。

たしかに、雷鳴が遅れたということは、そのとき落ちた雷との距離が開いているのは事実だろう。しかし、雷が次も同じ場所に落ちるとは限らない。雷鳴が稲妻に比べて15秒遅れると、距離としては雷と5キロ離れていることになる。

一見、安心できる状況に見えるが、雷が次にどこに落ちてくるかはわからない。5キロ先の自分のところに雷が落ちてくる可能性も十分考えられるのだ。

雷雲を発見したら、金属などは身につけたままでいいので、まずは安全な場所に逃げることが先決。特に、車や電車の中であれば、雷が車体の表面から地面へと流れてくれるため、非常に安全だと言われている。

次のパンデミックは「人工的な鳥インフルエンザ」?

鳥インフルエンザは、その名の通り鳥同士で感染するインフルエンザウイルスのことだ。感染した鳥などに接触した場合、まれに人間にも感染することがある。人間に感染した場合の死亡率は約60%と非常に高い。

ただし、鳥インフルエンザが人間から人間に感染することはほとんどないため、鳥との濃厚接触を避けていれば問題はない。

鳥インフルエンザ自体は1800年代から存在が確認されていたが、2004年に大流行したため世界中で大きな問題となった。WHO(世界保健機関)は2005年に鳥インフルエンザが変異して新型ヒトインフルエンザ(人間から人間に感染するインフルエンザ)になった場合、パンデミックを起こし、最大で5億人が死亡する可能性があると試算している。

鶏舎

このように、人間に大きな危害を与える可能性のある鳥インフルエンザだが、2011年、オランダのロン・フォーチア博士が、遺伝子操作でより強力な鳥インフルエンザウイルスを生成したと発表した。この新種のウイルスは空気感染により伝播するという。

フォーチア博士の研究チームは、ウイルスの遺伝子を操作し5つの変異種をつくりだした。それをフェレットに感染させ、そのフェレットの鼻を拭くことで別のフェレットに感染させる。この作業を10回以上繰り返すと、今まで接触しなければ感染しなかったはずのウイルスの感染能力が強化され、直接ウイルスを付着させなくても4匹中3匹は空気感染するようになったというのだ。

この新種ウイルスが人間に感染するかどうかはわからないが、もし人間に感染するようであれば、パンデミックを引き起こす可能性がある。そのため、この研究には多くの非難が寄せられた。未知のウイルスは使い方によっては兵器にもなりうるため、作成を禁じるルールが必要なのかもしれない。

地球の奥深くには大量のダイヤモンドが眠っている

ダイヤモンドは炭素の同素体で、天然に存在する中では最も硬い物質だと言われている。1年で20~30トンほどしか採掘できないため、世界で最も貴重な鉱質の一つだ。

そんなダイヤモンドだが、実は地球に大量に存在していることが判明している。マサチューセッツ工科大学やハーバード大学などの合同研究チームは地震音波の速度を分析した。地震音波は鉱物の密度など、地中に存在する物質や状態によって速度が変わるため、地震音波の速度変化を分析することで地中奥深くの状態を調べることができるのだ。

その分析の結果、「クラトンの根」という地殻からマントルに向かって延びている岩石の内部からダイヤモンドが検出された。ダイヤモンド内の音速は、マントルの主要鉱物であるかんらん石の約2倍だと言われている。今回、クラトンの根の中で検出された音速変化を実現するためには、岩石の中にダイヤモンドが1~2%含まれていなければいけないことが明らかになった。

たったの2%と思われるかもしれないが、その量は1000兆トンを超える。従来考えられているより、はるかに大量のダイヤモンドの存在が確認されたのだ。

ダイヤモンドが大量に存在するとなると、ダイヤモンドは希少なものではなくなり、その価値が暴落してしまうと想像するかもしれない。だが、今のところそうした心配は無用のようだ。これらのダイヤモンドは地下145~241キロととても奥深くに存在するため、現在の技術では採掘することが非常に困難だからだ。

もし、採掘技術が大きく進化すればダイヤモンドの価値が下がってしまう可能性もあるが、当面そのようなことはないだろう。

 

PROFILE
現代教育調査班

教育にまつわるさまざまな傾向、疑問について綿密なリサーチをかけるライター集団。ジャンルを問わず多様な情報を日々収集し、更新している。今回は日進月歩で進化し続けている理系の新説、新常識をテーマに調査している。