90歳で最高に「元気ハツラツ!」大村崑さんが“筋トレ”で得たもの

筋トレする崑さん

人生100年時代を迎え、多くの方は最後まで「元気ハツラツ!」に生き抜きたいと望むはずです。しかし、健康的で充実した毎日をいつまでも送るのは、そう簡単なことではありません。「元気ハツラツ!」でおなじみの大村崑さんは「90歳を迎える今が、人生で一番健康!」と話します。なぜ90歳の今が一番元気なのか、体だけでなく心も元気な秘密はどこにあるのか、その「心と体の元気の秘訣」を教えていただきました。

歩ける・噛める・姿勢がいい!こんな老後、想像してませんでした

大村崑です。まだ生きています。90歳です。死んでまへん。

死んでないどころか、寝たきりでもなく、車椅子でもなく、杖も使わないで自分の足で歩いています。ヨタヨタ歩きでも、すり足でもなく、50センチほどの歩幅でスタスタと、けっこうな速足はで歩くこともできます。

よほど長く歩くのでなければ、1キロやそこらなら息切れすることもなく、ラクラク歩けるのです。しかも、駅やデパート、ショッピングセンターでは、1階分ならエレベーターやエスカレーターも原則、使わない。手すりをしっかり持って、階段を一段一段、上って、下っています。

ぼくの背中はピーンと伸びています。腰も曲がっていません。肩もしっかりとうしろに引けていて、その肩の位置から首がスッと伸びています。

背中と肩が丸まった「猫背」とは無縁の、実にいい姿勢をしているのです。ついでに言えば、膝も伸びています。痛みはもちろんありません。胸を張り、背すじをピーンと伸ばして、大股でさっそうと歩いていると、気分もハレバレしてきます。

ふと見上げて、青空が広がっていたりすれば、幸せな気分になります。ああ、長生きしてよかった、と思うのもそんなときです。

ちなみにぼく、腹も出ていません。そしてつくべきところには筋肉がしっかりついています。セーターの上からも胸や肩の筋肉の盛り上がりがわかるし、ジーンズも、太ももやふくらはぎの筋肉の盛り上がりを隠すことはできまへん。

ぼくの体は今、服の上からでもそれとわかるほど、腕も脚も肩まわりも筋肉で盛り上がっているのです。すごいでっしゃろ。

使用前後

90歳で、自分史上最高の体になってしまいました

まだ自慢話を続けさせてください。嫌味な崑ちゃんですが、今しばらくのご辛抱を。なにしろ90歳にして、これまでで最高の体になっているのです。自慢のひとつやふたつやみっつやよっつ、したくなってもおかしないでしょ。

スタスタと歩けるのも、ムキムキのナイスバディになったのも、種明かしをすると、実は3年半まえに始めた筋トレのおかげなのです。

筋トレのご利益は、ほかにもたくさんあります。まずお伝えしたいのが「とにかくよく眠れるようになった!」ということ。

自分で言うのもなんですが、ぼく、年寄りとは思えないほどよく寝ます。トイレに起きるのは1回きり。1回も起きない夜もあるし、この間など、仕事で泊まったホテルで、10時間ぶっつづけで眠れたのにはびっくり仰天です。

以前は年寄りの例にもれず、毎晩、寝つけなくて、往生しました。ようやく眠りに落ちても、じきにトイレに起きる。最低でも3回はトイレに行っていました。

それが、筋トレを始めたら、スカーンと寝られるようになった。とくにジムで筋トレした日は、くたくたに疲れているから、ベッドに入ったら、もうバタンキュー。まるで、若者です。ジムへ行かない日も、心地よい疲労感が続いているのか、すぐに眠れます。

それに今のぼくは、誤嚥とも無縁です。食べものをうまく飲み込めなくて、それが気管のほうへ入ってしまうのが誤嚥。体はその異物を気管から出そうと、猛烈に咳き込ませたり、むせぶようにさせたりするそうです。

以前はぼくも、誤嚥に悩まされたクチ。食事中に2回、3回咳き込むのはしょっちゅうで、唾でむせたりもしたものです。推測やけど、筋トレによって喉のまわりの筋肉が鍛えられて、飲み込む力が増したんやと思います。気がついたら、誤嚥がほぼゼロになっていたのです。

食べものの小さなかけらが肺に少しずつ入りつづけると、最後は誤嚥性肺炎になってお陀仏です。この恐ろしい誤嚥ともご縁がない崑ちゃんです。

このほかにも、ずーっと昔から続いていた冷え性が治った、汗がかけるようになった、ひどかった肩こりもすっかりなくなった、風邪なんかめったに引かない、おまけに、何年も悩まされてきた耳鳴りも、飛蚊症も消えた……。

耳鳴りや飛蚊症の原因の多くは、加齢だそうです。筋トレによってぼくの体はめちゃくちゃ若返った。だからきっと、加齢が原因の耳鳴りや飛蚊症も吹き飛んだのでしょう。

そして、定期健診での数値もいい。悪玉コレステロールが101(基準範囲60〜119)、中性脂肪が85(基準範囲30〜149)など、すべて正常値の範囲内です。とにかく全身の状態がよくて、めちゃめちゃ健康なのです。

「息切れ」がなくなった! これは本当に奇跡です

まだ言うか! とあきれられそうですが、もう少し。筋トレを頑張って得た最大の成果は、息切れをしなくなったことだと思います。

まったく期待もしなければ、予想すらしなかった変化です。もっと言えば、肺の機能が高まり、肺活量がグッと増えたように感じるのです。

ぼくは19歳のとき、肺結核のため右の肺を切除しています。それ以来、「片肺飛行」のぼくはひどい息切れに悩まされつづけてきました。少し歩くだけで、すぐに息切れがするのです。

70年間以上も苦しめられてきた息切れから、筋トレが救い出してくれました。まさに奇跡以外のなにものでもおまへん。

ホンマにそんなことあるんですか、と怪しんでいる方もいるかもしれません。はい、ホンマです。

筋トレでは深い呼吸が大切になります。息を深く吸って、ゆっくりと吐き出す。これをくりかえしながら、体を動かすわけです。つまり、筋トレのたびに何百回も深い呼吸をくりかえすことで、呼吸で使う筋肉が鍛えられたんだと思います。そのため、肺活量が増えて、息切れもしづらくなったのでしょう。

実際、ぼくの筋トレの先生、岩越亘祐さんによると、筋トレによって、肺を動かす「呼吸筋」という一連の筋肉群も鍛えられ、肺の周囲全体が発達して、機能が上がったのではないかということでした。

また、筋トレによって、肺がなくてぺちゃんこだった右胸にもたっぷり筋肉がつきました。そのおかげで左右の胸の高さが揃ったのです。以前は、右胸が極端に低くて左側との差が目立ちすぎ、ぴたっとしたTシャツが着られなかった。今は、左右の胸が同じように逞しく盛り上がっているから、Tシャツかて着こなせます。

いずれにしても、たくさんの酸素を胸いっぱいに吸い込めるようになったおかげで、ぼくは今、少し歩いた程度では息切れしません。酸素を求めてハアハアと荒い呼吸をすることもなくなったのです。

片肺を切除してから70年間、ぼくは極端な「酸素不足」の状態のまま生きてきました。それが、最晩年になってはじめてふつうの人と同じように、ひょっとしたらそれ以上にたっぷりと酸素を吸い込みながら呼吸することができるようになったのです。

息切れをしなくなってからは、外出が楽しくてなりません。つい先日も、瑤子さん(ぼくの奥さんです)とふたりで買いものに出かけました。速足の瑤子さんと肩を並べて歩けて、いい気分です。

で、なにかの拍子に瑤子さんの手がふれて、ぼくはそのまま瑤子さんの手を握って歩きました。

瑤子さんの手をつないで歩いたのは、何十年ぶりでしょう。久々に握った瑤子さんの手が温かくて、気分がなごみました。

その晩、瑤子さんはフェイスブックに「久しぶりに主人と手をつないで歩きました。主人の手は温かかった」と投稿していました。

同じこと、感じていたんですね。

自慢話のオンパレード、よう辛抱して読んでくれはりました。次の記事では、ぼくがやっている筋トレのメニューをご紹介します。お楽しみに!

 

PROFILE
大村崑

1931年11月1日生まれ。兵庫県生まれ。キャバレーのボーイから司会、そしてコメディアンへと転身。昭和30年代、黎明期のテレビ軽演劇『やりくりアパート』『番頭はんと丁稚どん』『とんま天狗』に出演し一世を風靡する。大塚製薬オロナミンCのCMで子どもから大人まで幅広い層に好かれる国民的タレントとしての地位を確立。現在は講演活動で全国を駆け回りながら、映画にも出演。精力的に活動を続けている。著書に『崑ちゃん ボクの昭和青春譜』(文藝春秋)などがある。