8時間机に向かっているのに成績は下がる一方…女子の中学受験対策

10歳すぎれば立派にしたたか

もちろん個人差はありますが、コツコツ取り組むことができるという女の子の性質は、「毎日勉強する」「やらなければならないことはきちんとやる」「遊びたくても我慢する」ということにつながり、中学受験に必要な資質だと言えます。

とはいえ、女の子でも成長曲線はさまざま。男の子同様に幼い子もいれば、中高生を超えるような成熟度の高い子もいますが、あまり自己主張の激しくない子は、ある程度親の言う通りに行動できてしまいます。

これは一見、ありがたいことのように感じるかもしれませんが、親が先回りしておぜん立てしすぎることで、自分で考えず、親の指示を待つだけの子になる可能性があります。

その結果、受験に必要な「頭を使う」「自ら点数を取りに行く」という根本的な部分が育たなくなります。また、何とかだましだまし合格したとしても、中学に入ってまで親が手取り足取りケアしてあげることはできません。

こういった子ほど、子どもの成長過程を見守りながら、徐々に本人に任せていくように仕向けなければなりません。

女の子のなかでも成熟度の高い子は、「この学校に行きたい」というモチベーションを糧に自ら勉強を進めていくことができますが、別の理由で勉強を進めていくケースがあります。それは「親ともめるのが面倒だから」というもの。その後ろ向きな理由で粛々と勉強を進めていける子は、難関校に合格していきます。

一方、男の子には「親ともめるのが面倒だから我慢して勉強する」「親を見返してやる」という発想自体がありません。

男の子に比べてまじめにコツコツ取り組むことができる女の子は、正しい取り組み方をすれば、着実に基礎を積み上げていくことができます。私が指導をしていても、基本的には宿題をやってあるので、「どうして宿題をしていないのか?」という事情聴取をせず授業に入ることができるのは、とてもありがたいことです。

8時間座っていることに安心してはいけない

女の子は、具体的な目標がなくてもある程度がんばれます。

子どもがずっと机に向かっていると、親としては安心します。成熟度の高い女の子なら自分から勉強を始めることができるし、成熟度が低くても従順な子なら、親が「勉強しなさい」と言えば素直に従う。

そして、たまにフラフラと冷蔵庫を開けにきたり、漫画をチラッと読んだりはするものの、とりあえず宿題が終わるまではずっと机に向かって座っていることができます。

そのうえで、「毎週日曜は8時間勉強してるのに、全然成績が上がりません」という相談が多いのも女の子の特徴です。

しかし、よほど勉強が好きでない限り、集中力が8時間も持つはずはありません。1日8時間座っていたとしても、その間はテキストをぼんやり眺めていたり、解けない問題の答えを書き写していたり、親の必死の解説を右から左で聞き流していたり、解いているとしても単に数値を変えているだけだったり……と、必死に時間をつぶしています。

勉強とは「頭を使うこと」ですが、長時間座っていられる女の子は、勉強とは「机に向かうこと」だと勘違いしていることが往々にしてあります。

そういった子がはじめて私の授業を2時間受けると、ヘトヘトになると同時に、理解できた楽しさ、頭を使った達成感で清々しい表情をしています。単に頭を使うだけでは疲労感のみが残ることもありますが、「問題が解けた!」という達成感があると、清々しい表情になるのです。

長時間座っていられる忍耐力に、ぜひ「質」を加えてあげてください。

もし親が勉強にある程度つきそえるなら、一方的に教えるのではなく、子どもが解いた問題を、なぜそう考えたのか言葉で説明させましょう。大切な問題には時間をかけ、不要なものは切り捨てること。同じ8時間でも、すべての課題に同じ密度で取り組むのではなく、頭を使う場所のメリハリをつけてあげましょう。

女の子はただ“共感”を求めている

では、親は女の子の気持ちにどのように寄りそうのが正解なのでしょうか?

アカネちゃん(仮名)は、幼いころはお母さんに何でも話す子でした。ところが、3歳年上のお姉さんが中学受験をしたときに、お母さんの関心はお姉さんのほうへ向き、アカネちゃんは放っておかれがちに。そして、お姉さんは都内の難関校に進学。

「だったら妹のアカネちゃんも」と私立中高一貫校進学に向けた勉強を始めますが、アカネちゃんはお姉さんと違って勉強があまり得意ではありません。

また、今は学校の友だち関係で不満を募らせることが多く、気持ちがそちらに向いて勉強どころではないのです。

不満といっても、大人からすればたいしたことではないように見えますが、そうしたことにがんじがらめになってモヤモヤしてしまうのが、小学高学年の女の子です。

アカネちゃんも以前は、お母さんに学校の話をしていました。でも、お母さんは「そんなことどうでもいいじゃない」と軽く流したり、「そういう子の相手はしない。自分は自分と思っていればいいのよ」と正論を述べたりするだけ。

アカネちゃんはお母さんのアドバイスを求めているわけではありません。ただ、今日学校で自分がモヤモヤした、ということを聞いてほしいだけなのです。

私もお金をいただいて家庭教師につく以上、勉強面での成果を出すのがプロの仕事です。しかし、本人が「よし! 今日はここを覚えるぞ」「この問題を解いてみせる」という気持ちにならなければ、勉強の効果は望めません。

女の子の学習効果を上げるには、まず勉強に気持ちを向けさせること。もちろん男の子でも同じですが、男の子は単に興味の対象が他にあったり、勉強をしたくないだけです。

女の子の場合は、頭を占めている悩みを一度取り除いてあげなければなりません。そのために必要なのが話を聞いてあげること。女の子のモヤモヤは、話を聞いてあげ、共感し、具体的な解決策を一緒に考えてあげることでたいていおさまります。

 

PROFILE
安浪京子

株式会社アートオブエデュケーション代表取締役、算数教育家、中学受験専門カウンセラー。神戸大学発達科学部にて教育について学ぶ。関西、関東の中学受験専門大手進学塾にて算数講師を担当。生徒アンケートでは100%の支持率を誇る。プロ家庭教師歴約20年。中学受験算数プロ家庭教師として、きめ細かい算数指導とメンタルフォローをモットーに、毎年多数の合格者を輩出している。中学受験、算数、メンタルサポートなどに関するセミナーを多数開催、特に家庭で算数力をつける独自のメソッドは多数の親子から支持を得ている。

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